2023/05/23

秋の七草に代表される草花にまつわる日本の行事

日本の年中行事にはその季節の草花を用いるものが多くあります。
十五夜の「秋の七草」が有名ですが、七草粥にする「春の七草」もあります。
6月は「こどもの日」としても馴染み深い「端午の節句」で菖蒲湯(しょうぶゆ)に菖蒲を使いますし、7月には七夕に笹を使いますね。

日本の四季折々の草花は、それぞれの月の行事と密接に関係しています。
四季のある日本だからこそ、行事の数も多く、それぞれの行事にはその時期に美しく咲く花や、青々と茂る草木が使われているのです。

この記事では、草花にまつわる日本の行事を月ごとに説明しています。
1月から12月まで、月ごとに説明しておりますので、あれはいつだったかなとおさらいの意味も込めてぜひご覧ください。

1月は「春の七草」
秋の七草“以外”の草花の行事

まず年明けの1月には、旧暦1月7日に「人日の節句(じんじつのせっく)」があります。
人日の節句とは「春の七草」にちなんだ行事で、七草粥を食べて一年の無病息災を祈ります。

春の七草は以下の七種の植物です。

1. セリ(せり)

セリはセリ科の植物で、栄養価が高く、利尿作用があります。
料理やお茶にも使われます。

2. ナズナ(なずな)

ナズナはアブラナ科の植物で、食用になり、ビタミンCやカルシウムが豊富です。

3. ゴギョウ(ごぎょう)

ゴギョウはゴマノハグサ科の植物で、生薬として知られ、解毒作用があります。

4. ハコベラ(はこべら)

ハコベラはシソ科の植物で、食用や薬用に使われ、栄養価が高いです。

5. ホトケノザ(ほとけのざ)

ホトケノザはミズキ科の植物で、抗酸化作用があり、美容効果があると言われています。

6. スズナ(すずな)

スズナはアブラナ科の植物で、ビタミン類やミネラルが豊富で、食用になります。

7. スズシロ(すずしろ)

スズシロはアブラナ科の植物で、若い葉は食用になり、ビタミンやミネラルが含まれています。

また、人日の節句より少し後の1月11日には「鏡開き」の行事があり、鏡餅に橙(だいだい)や柚子(ゆず)などの果物が載せられます。

2月は「節分」の豆まき
秋の七草“以外”の草花の行事

2月には2月3日に「節分(せつぶん)」の行事で豆まきを行います。
「鬼は外、福は内」の掛け声で乾燥した大豆撒いて、鬼を追い払って福を招くという行事です。

また、節分の翌日2月3日は「立春」です。
二十四節気(にじゅうしせっき)で春が始まるとされる立春では「梅」が咲き始め、象徴的に色々なシーンで見かけるでしょう。

3月「ひな祭り」は桃の節句
秋の七草“以外”の草花の行事

3月3日は桃の節句の「ひな祭り」です。
雛人形を飾って女の子の成長と幸福を祈る行事で、「桃」の花を飾ります。

関連記事:桃の節句になぜ桃を飾るの?意外な効果と桃の節句の祝い方について解説

また、3月中旬には春の彼岸があります。
お彼岸は先祖の供養を行う行事です。
彼岸花(ひがんばな)などのお花をお墓に供えます。

関連記事:法事のお供え物は何を選べばいい?ポイントやマナー・おすすめの品物

4月は「お花見」で桜を満喫
秋の七草“以外”の草花の行事

春の訪れと共に「桜」の花が咲き始めると行われる「お花見」。
桜の下でお弁当を楽しみ、花の美しさを愛でる習慣です。
また、桜が咲く時期は入学式や卒業式の時期でもあり、桜は新たな門出を象徴する花とされています。

5月の「こどもの日」
秋の七草“以外”の草花の行事

5月5日は端午の節句。「こどもの日」として祝日になっており、子供の健やかな成長を願い、鯉のぼりを飾る行事を行います。

この時期には邪気を払うとされる菖蒲(しょうぶ)を使った菖蒲湯に入る習慣があります。
菖蒲湯に入ることで無病息災を願い、子どもたちの健康を祈るとされています。
菖蒲の葉は剣のような形をしており、武士の子どもたちに強くなることを願う意味も込められています。

6月は「ジューンブライド」
秋の七草“以外”の草花の行事

6月に結婚するカップルは幸せになるという言い伝えがあり、「ジューンブライド」と呼ばれています。
この言い伝えにちなんで、1994年に全日本ブライダル協会が6月第1日曜日を「プロポーズの日」として定めました。

2023年以降のプロポーズの日

2023年:6月4日
2024年:6月2日
2025年:6月1日
2026年:6月7日
2027年:6月6日
2028年:6月4日
2029年:6月3日
2030年:6月2日
2031年:6月1日

ジューンブライドは、アメリカから伝わった言い伝えで、夏の訪れを感じさせる爽やかな気候が恋人たちの心を引き合わせ、愛が芽生えやすい季節だとされています。
プロポーズの日は、この季節に愛を確かめ合うための特別な日として、カップルたちに支持されています。

7月は「七夕」笹に短冊
秋の七草“以外”の草花の行事

7月には7月7日の「七夕(たなばた)」があります。
願い事を短冊に書き、竹に飾って願い事が叶うことを祈る行事です。
笹は風に揺れる様子が美しく、願い事が天に届くとされています。
また、夏の夜空を彩る花火大会も、多くの人々が楽しみにする行事の一つです。

竹が代用されることも多いですが、笹は日本固有の植物です。
笹も竹も単子葉植物イネ科タケ亜科の植物でよく似ていますが、笹は寒冷地でも育成できてサイズは竹よりも小さく育ちます。

関連記事:七夕で笹が使われ始めたのは江戸時代から!五色の短冊や飾りの意味も解説

また、7月は関東ではお中元の季節です。
行事とは違いますが、お中元やお歳暮、年賀状や暑中見舞いなどのご挨拶は、日本の大切な風習ですね。

関連記事:お中元の意味は?お歳暮と比較しながら詳しく解説!

8月は「お盆」
秋の七草“以外”の草花の行事

8月は「お盆」の行事があります。
正式には盂蘭盆会(うらぼんえ)と言い、先祖の霊を迎え、故人を偲ぶ行事です。

お盆の時期には、先祖の霊を迎えるために「 精霊馬(しょうりょううま)」・「精霊牛(しょうりょううし)」を作ります。
精霊馬は、主にキュウリやナスを使って作られる馬の形をしたお供え物です。

関連記事:お盆の花の値段は?お盆に供える花の相場について解説

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9月は「十五夜」
秋の七草は鑑賞用なので食べません!

9月には「十五夜」が9月中旬頃にあります。
お月見を行い、秋の七草を観賞しながらお団子を楽しむ行事です。

秋の七草は、秋を彩る7つの草花で、次のように親しまれています。
一覧でごらんください。

萩(ハギ)

秋の七草の一つで、9月頃に花が咲きます。
日本の季節感を表す花として、古くから詠まれてきました。
また、染料や漢方薬としても利用されています。

桔梗(キキョウ)

紫色の花が美しい秋の七草の一つで、9月頃から10月にかけて咲きます。
古くから中国や日本で観賞用に栽培され、和紙の原料にもなります。

葛(クズ)

夏の七草の一つで、日本全国に分布しているつる性の植物です。
根から作られる葛餅や、葛湯などの食品・飲料に利用されるほか、漢方薬としても用いられます。

藤袴(フジバカマ)

日本原産の多年草で、春から夏にかけて淡い紫色の花を咲かせます。
葉っぱに薬効があるとされ、漢方薬や生薬としても利用されます。

女郎花(オミナエシ)

夏の七草の一つで、6月から8月にかけて花が咲きます。
白い花が特徴的で、日本の多くの地域で観賞用に栽培されています。

尾花(オバナ/ススキ)

秋の七草の一つで、10月から11月にかけて穂状の花を咲かせます。
ススキは草原や湿地に自生し、葉っぱや穂を利用した生活用品や装飾品としても重宝されています。

撫子(ナデシコ)

なでしこは春の七草の一つで、4月から5月にかけてピンクや白のかわいらしい花を咲かせます。
根や葉に利尿作用があるとされ、漢方薬や茶などに利用されます。

秋の七草には、春の七草のように粥にして食べたりするような行事は特にありませんが、平安時代の貴族は、秋の七草が咲いていた花野(はなの)を歩きながら歌を詠むという風流な遊びをしていました。
また、古代から日本では年初に雪の間から芽を出した草を摘む「若菜摘み」という風習があり、これが七草の行事の原点とされていたり、万葉集の中で山上憶良(やまのうえのおくら)が秋の七草の歌を詠んでいることから始まったという説もあります。
そして秋の七草の覚え方は「お好きな服は(おすきなふくは)」と名前の頭文字をとって覚えていきます。言葉遊びの一つですね。

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十五夜よりも少しまえの9月9日。
9という陽数が重なる「重陽の節句」は菊の節句と言われ、菊の花を飾り、健康と長寿を願います。
また、菊の花を使った「菊酒」が飲まれることもあります。

もう一つ、9月の大切な日として「敬老の日」があります。
敬老の日は彼岸の中日にあたることから、「彼岸花」が季節の花として選ばれます。
彼岸花は、鮮やかな赤色の花弁が特徴的で、日本の秋の風物詩の一つとしても親しまれています。
ただし、彼岸花は毒性があるため、取り扱いには注意が必要です。
また、近年では仏花として使われる事が多い為、避ける方も多くなってきています。

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10月は「紅葉狩り」の季節
秋の七草“以外”の草花の行事

10月は「紅葉狩り」が楽しまれる季節です。
日本では秋の紅葉の時期に、楓や銀杏などの美しい葉を楽しむ習慣があります。

この季節には、多くの人々が紅葉狩りと呼ばれる、紅葉を楽しむためのお出かけを楽しんでいます。
紅葉狩りのシーズンには、各地の公園や山々が観光客で賑わいます。
また、紅葉を見に行くだけでなく、紅葉の美しさを楽しむ食べ物や飲み物なども人気があります。
秋は日本の四季の中でも、特に美しい季節のひとつとして愛されています。

11月は「新嘗祭」で新米を奉納
秋の七草“以外”の草花の行事

11月の日本の行事といえば11月15日の「七五三」を思い浮かべます。
3歳、5歳、7歳の子供の成長と健康を祈り、神社でお参りする行事です。
しかし、七五三では特に草花や植物を使うということはありません。

11月の草花を使う行事では「新嘗祭(にいなめさい)」があります。
新嘗祭では、新米を神様に捧げるために、稲穂を飾ります。
お米の収穫に感謝し、神様へ捧げるという日本の歴史と直結する大切な行事です。

12月は年末とお正月の準備
秋の七草“以外”の草花の行事

12月の年末には、門松を立てる習慣があります。
門松には松や竹、梅の枝などが用いられ、新年を迎える準備をします。
お正月飾りや門松、しめ飾りは手作りすることもできますし、お花屋さんやネットのフラワーショップでも購入できます。

関連記事:手作り門松は簡単に作れる!基本的な作り方・アレンジ方法をご紹介

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秋の七草など四季を感じる草花は
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日本の四季は、草花とともに感じる美しいものです。春の七草、秋の七草、梅、菖蒲、菊・・
そして、それぞれの季節が持つ行事。
これらの四季に関連する伝統は万葉集にも詠まれ、山上憶良や他の歌人たちによって遺され、今でも私たちに情緒豊かな風情を伝えています。

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本記事では、秋の七草に代表される「草花にまつわる年中行事」について紹介しました。
春の七草から節分、お盆、紅葉狩りからお正月に至るまで、日本では毎月のように草花に関係する行事があります。

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