2023/05/23

中秋の名月はいつ?十五夜の由来からお供え物の意味や種類までご紹介

中秋の名月、という言葉を聞いたことはありますか?
最近では聞きなれないという人もいるでしょう。

中秋の名月とは、お月見をする十五夜のことです。
しかし十五夜はただきれいな月を眺めてお団子を食べるだけではありません。

この記事では「中秋の名月」について深堀していきます。
中秋の名月とは何か、そして何をお供えすればいいのかを紹介していきます。

そもそも中秋の名月とは?
「十五夜」のお月見のこと

ここでは中秋の名月について紹介していきます。
新月や満月などの月の満ち欠けは、日本に限らず世界中の国や地域で行事と密接に関係していることが多く、十五夜もその1つです。

美しい月が見られる十五夜のこと

中秋の名月とは、月見団子を食べながらきれいな月を眺める「十五夜」のことです。

本来の意味は旧暦の15日の夜をすべて「中秋の名月」と呼びます。
しかし現代では中秋の名月=十五夜で浸透しているので、秋の夜長に月を見ながらお団子を食べる日を中秋の名月(十五夜)といいます。

日本では秋の味覚やお団子をお供えするイメージが強いですが、もともとは中国の風習であり、日本に伝わったのは平安時代で、貴族たちが美しい月を眺めて宴を開いたことが始まりとされています。

十五夜とセットで十三夜もある

日本では十五夜以外にも「十三夜」にお月見をする独特の風習があります。

十三夜は旧暦の「9月13日?14日の夜」。
十五夜は旧暦の8月中旬なので、収穫前の豊作を願います。
一方で十三夜は旧暦の9月中旬なので稲作の収穫を終え、無事に収穫できたことに感謝する日なのです。

両方セットで祝うのが一般的とされており、片方だけだと「片月見」といわれ縁起が悪いと言われています。

秋にお月見をする理由

中秋は旧暦の「8月15日」が中秋と呼ばれますが、旧暦で秋は「7月?9月」としているために、その真ん中にある8月を「中秋」としているのです。

そして現代の暦でお月見をするのは9?10月の秋。
秋は1年の中でも最も月がきれいと言われています。
秋は夏に比べて湿度が下がることによって大気中の空気が澄んで、月がはっきり見えるようになるのです。
そのため昔の人も、もっともきれいに見える秋にお月見をするようになり、その風習が現代にも続いています。

中秋の名月は何時?一覧で確認

中秋の名月は、毎年日付が異なります。

  • 2022年9月10日
  • 2023年9月29日
  • 2024年9月17日
  • 2025年10月6日

基本的には9月?10月の間が現在では「中秋の名月」になります。
日付のとおり2022年と2025年では約1ヶ月も開きがあります。

中秋の名月に必要な
「お供えもの」と「食べ物」

十五夜といえば、主に以下のものをお供えする人は多いのではないでしょうか。

  • 月見団子
  • ススキ
  • 秋に収穫した野菜や果物

しかしなぜこれらがお供えされているかご存じですか?
ここではお供えものの種類と意味について説明していきます。

月見団子

十五夜のお供えの定番といえば「月見団子」です。
月見団子をお供えする習わしは、日本に中秋の名月の習慣と一緒に中国から伝わったといわれています。

秋は農民にとって作物の収穫の時期です。
丸い形をしたお団子は、豊作への祈りと感謝、また幸福の象徴とも言われています。
そのため供えた後のお団子を食べることで、健康と幸福を得られると考えられてきました。

月見団子は基本的に十五夜にちなんで15個並べます。
しかし1年に12回ある満月に合わせて12個並べるケースも。
また15個を簡単にして5個という場合もあるようです。

ススキ

月見団子と並んで定番のお供えものが「ススキ」。
ずっと昔から日本では、稲穂は神様が降り立つ「依り代」と信じられてきました。

しかし中秋の名月の時期は、まだ穂が実る前のためお供えものとして用いることができません。
そのため姿が似ている「ススキ」を代用してお供えしたのが起源とされています。

また地域によっては、ススキは邪気を払うと考えられています。
ゆえにお供えしたあとは「災いがありませんように」と願いを込めて庭や軒先に吊るす習慣がある地域もあるようです。

収穫した野菜や果物

地域によっては十五夜に「里芋やサツマイモ」をお供えする場所もあります。

今では日本の主食はお米ですが、芋類が主食だった時代はお供えものも芋類でした。
その名残でいまでも里芋やサツマイモなどをお供えする習慣が残っていると言われています。

また芋類以外にもぶどうや梨、栗など、秋に収穫できる野菜や果物をお供えすることも多いようです。
中秋の名月は作物の収穫に感謝する行事でもあるので、秋の味覚をお供えして、神様に感謝の気持ちを表しています。

お供えものは美味しく食べよう

お供えしたものは、お月見が終わったあとにおいしく頂きましょう。
昔から日本では、お供え物を体に取り込むと、幸せや神様からのパワーがもらえるとされています。

ススキは花瓶に入れて飾ったり、魔除けとして軒先に吊るすのも良いでしょう。

中秋の名月には秋の七草

十五夜に多くの人はススキを飾りますが、一緒に飾ることで秋らしさが増す「秋の七草」をご存知でしょうか?
春の七草は有名ですが、秋の七草をすらすら言える方は少ないかもしれません。

春の七草は、お正月の美味しいものを食べ過ぎた胃腸をいたわるという意味を込めて 「七草がゆ」として食べますが、秋の七草は観賞が目的なので食べることはしません。

山や野に咲く花を鑑賞して季節を楽しんだり、七草の中にある薬草や漢方を煎じて人々の体を癒すといった役割があるのです。

秋の七草についてご紹介します。

尾花(ススキ)

ススキは代表的な秋の草花であり、その風に揺れる姿は日本人にとってなじみ深い風景です。
イネ科の多年草で高さ1?2メートルにも成長し、秋になると穂が茶色や銀色に輝く美しい姿を見せます。
風に舞うその姿は日本の詩歌や歌謡にも詠まれており、秋の風物詩として親しまれています。

中秋の名月の夜には、ススキを飾ってお月見を楽しむ風習があります。
ススキは月の光を受けて美しく輝き、月見の雰囲気を一層盛り上げます。
また、ススキには邪気を払うという意味もあり、古くから厄除けや縁結びのお守りとしても使われてきました。

葛花(クズ)

クズはマメ科のつる性多年草で日本全国に自生しています。
夏から秋にかけて、つるの先に薄紫色や白色の花を咲かせます。
クズの花は繊細な美しさと甘い香りが特徴で、蝶などの昆虫が集まりやすいことから、観察することで自然の営みを感じることができるでしょう。

瞿麦(ナデシコ)

ナデシコはナデシコ科の多年草で、日本各地の山野に自生しています。
夏から秋にかけて茎の先にピンクや白色の可憐な花を咲かせ、上品な香りがあるという特徴があります。
花言葉は「純愛」や「清らかな愛」で、恋愛にまつわる詩や歌にもよく登場する花です。

姫部志(オミナエシ)

オミナエシは、日本全国の湿地や水辺に生息するキキョウ科の植物で、黄色い可愛らしい花を夏から秋にかけて咲かせます。
この花は、鮮やかな色彩と心地よい香りで知られ、日本の風俗に深く根付いています。

藤袴(フジバカマ)

フジバカマは、キク科の多年草で、日本をはじめとする東アジアの山野に自生しています。
秋になると、高さ1メートルほどの茎の先に紫やピンク、白などの色彩豊かな花が咲き、 その華やかさで人々の目を楽しませます。
花は蝶が寄ってくるため、その姿も含めて楽しむ事ができるでしょう。

桔梗(キキョウ)

キキョウはキキョウ科の多年草で、日本をはじめとするアジア各地に自生しています。
秋になると茎の先に鮮やかな青紫色の星形の花が咲き、美しい姿で人々を魅了します。
また、白やピンクなど他の色の品種も存在しています。

萩(ハギ)

ハギはマメ科の萩属に属する落葉低木で、日本全国の山野や草地に自生しています。
秋になると茎に沿って細かい蝶形の花が咲き誇り、その優美な姿が風情を感じさせます。
花の色はピンクや白などがあり、どれも淡い色合いが特徴です

観賞用の秋の七草は、日本の秋を感じさせる代表的な草花ばかりです。
日本の秋には七草以外にも素敵なお花がたくさんありますよ。

中秋の名月には秋の七草とともに
「秋の花」をたのしもう

中秋の名月は夜に行われる行事です。
日本の秋の夜空に満月が映える様を楽しむイベントですが、日本の秋は日中も楽しめる素敵なお花がたくさんあります。

代表的な秋のお花をご紹介します。

キンモクセイ

キンモクセイは、日本を代表する秋の花で、オレンジ色の小さな花が集まって咲きます。
その甘い香りが特徴で、秋の訪れを感じさせてくれる花です。
花言葉は「高貴」や「誇り」を意味します。

コスモス

コスモスは、ピンクや赤、白などの可憐な花が咲く秋の花で、その姿はまるで宇宙の星々を彷彿させます。
花言葉は「乙女の真心」や「和やかな愛情」を意味し、秋の風に揺れる姿が心を癒してくれます。

関連記事:キバナコスモスの育て方を解説!特徴やおすすめの楽しみ方もご紹介

クリスマム

クリスマムは、キク科の花で、菊花展に代表されるように、日本で古くから親しまれています。
白や黄色、紫などさまざまな色があり、秋のお祝いの席にふさわしい華やかな花です。
花言葉は「貴族の心」や「高潔」を意味します。

ダリア

ダリアは、大輪で豪華な花が咲くことで有名で、秋の庭を彩る存在感のある花です。
花言葉は「華麗」や「感謝」を意味し、見た目の美しさだけでなく、そのメッセージも魅力的です。

ツリガネニンジン

ツリガネニンジンは、ウンナンチドリ科の多年草で、紫や青、ピンクなどの美しい花が咲きます。
花言葉は「幸福が鳴り響く」や「運命の出会い」を意味し、秋の名月にふさわしい縁起の良い花です。

昼はお花、夜は月。
秋のお花を飾ることで、そんな昼夜を問わない楽しみ方もできますよ。

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