春には本当に多くの花が咲きます。
ピンクや白、オレンジや赤など多くの花色の中で、紫の花は、ひときわ気品があふれています。
凛とした高貴なイメージのある紫のお花ですが、花の種類によっては可憐に、可愛く見えてくるから不思議です。
さまざまな花色のある春の花の中で、今回は特に紫の花色に注目してみました。
あなたは春に咲く紫の花と言ったら、何のお花を思い浮かべますか?
上品な紫色に染まったお花たちが庭にそろったら、それは素敵な光景になるのではないでしょうか。
春の紫として代表されるお花を特徴や花言葉、育て方などのちょっとしたアドバイスも交えながら紹介しますので、ガーデニングや鉢植えのお花を探している人は、ぜひ最後までご覧ください。
春の紫色の花「スミレ」は種類が非常に多い
スミレは、青に近い紫の花色が美しい多年草です。
種類が非常に多く、後で紹介するパンジーやビオラもスミレの仲間です。
可憐な姿ながら、とてもたくましい植物で、歩道の端や堤防、アスファルトの裂け目などにも咲いていることがあります。
暑さにも寒さにも強く、ガーデニング初心者でも育てやすい植物です。
日当たりの良い場所で、水やりを忘れなければきれいな花を咲かせてくれます。
開花は、3月下旬から5月頃までの時期で、桜やツツジなどが咲き誇る中で、ひっそりと、でもたくましく咲き続ける花です。
スミレの花言葉は、「謙虚」「誠実」
紫のスミレには、「愛」「貞節」という花言葉があります。
春の紫色の花の代表格「ラベンダー」
ラベンダーは、優しい甘さの香りが特徴的な植物で、北海道の富良野ラベンダー畑が有名です。
防虫効果や抗菌作用もあるラベンダーは、古代ギリシャの時代から人々に利用されてきました。
高温多湿を苦手とし、乾燥した土地を好むことから、北海道が栽培に適していたために富良野のラベンダー畑がよく知られています。
しかし、他の地域でもラベンダーを栽培することは可能です。
ラベンダーは、初心者には栽培が難しいと言われていますが、耐寒性があり暑さにも比較的強いラバンディン系という種類のラベンダーなら、比較的育てやすいです。
水はけのよい土に植え、風通しが良い場所で、水やりの回数に気を付ければ、可愛い花が咲いてくれるでしょう。
ラベンダーの咲く時期は、地域により異なりますが、5月?7月頃が最も美しく咲きます。
ラベンダーには、抗菌効果を持っているラベンダーにちなんだ「清潔」、ラベンダーの香りに惑わされるという意味で「疑惑」、そしてリラックス効果に由来した「沈黙」という花言葉があります。
春の紫色の花「アヤメ」は白色もある
凛とした美しい姿が特徴的なアヤメは、生け花の花材としてもよく利用されてきた植物です。
「いずれがアヤメかカキツバタ」という言葉があるように、アヤメとカキツバタ、そしてハナショウブはとてもよく似た見た目をしていて、区別するのが難しいと言われています。
アヤメ・カキツバタ・ハナショウブの最も大きな違いはその草丈です。
アヤメが一番低くて30?60cm、次にカキツバタが50?80cm、ハナショウブが80?100cmという違いがあります。
よく見ると花色も少しずつ異なっています。
アヤメの花びらには外側に黄色い模様があり、ハナショウブは花びらの付け根に黄色い模様があります。
カキツバタの花びらの付け根の色は白です。
遠くからではわかりにくいのですが、じっくりと鑑賞するとそれぞれ違った美しさが楽しめるのではないでしょうか。
アヤメは、濃い紫と白の花色があり、特に気品ある紫色がとても美しく人気があります。
乾燥を嫌うアヤメは、日当たりの良い場所でしっかりと水やりをすることで上品な花を咲かせてくれます。
開花は4月?6月頃で、5月上旬が最もきれいに咲く時期です。
花言葉には、「希望」「良い便り」などがあります。
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春のガーデニングにおすすめの紫色の花「ベルフラワー」
ベルフラワーは、和名をオトメギキョウといい、草丈は高くても20�pほどの小さい植物で、可愛い花を咲かせる多年草です。
耐寒性があって丈夫で、ベルのような形をした可愛らしい花が横に広がって多く咲くので、ガーデニングの草花としてとても人気があります。
ベルフラワーは、日当たりが良くて湿気が少ない場所を好みます。
しかし、日差しがあまりに強すぎると葉が焼けます。
夏は、風通しの良い日陰に置き、冬は出来れば屋内に入れておきましょう。
耐寒性はありますが、根が霜にあたってしまうと傷みますので気を付けてください。
小さな花がたくさん集まって咲くベルフラワーは、寄せ植えにもおすすめです。
お好みの花とともに、美しい景色を作ってみてはいかがでしょう。
ベルフラワーは、4月?7月にかけて私たちを楽しませてくれます。
花言葉は、「誠実」「感謝」「不変」などです。
冬枯れて、春にまた咲く紫色の花「タイム」
タイムは、清々しい香りが特徴的なハーブで、古代ローマ・ギリシャの時代から利用されてきました。
殺菌作用もあるタイムは、スパイスや香水としても重宝されています。
草丈20�p前後の常緑低木のタイムは、暑さにも寒さにも強く、日陰でもよく育ちますので、庭のグランドカバーにもおすすめです。
花色は、紫の他、ピンクや白で、枝先に小さく花を咲かせます。
開花時期は4月?6月で、緑の中に咲く可憐で可愛らしい花は香りと同じように清々しい雰囲気を持っています。
タイムの枝や葉は冬になると枯れてしまいますが、根は張り続け、春になるとまた新しい芽を出すことから、「活気」という花言葉があります。
香りや効能にちなんで「清潔感」、古代ギリシャでは「勇気」の象徴とされていたことから「勇気」も花言葉になっています。
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ちいさな牡丹のような春の紫色の花「アネモネ」
アネモネは、地中海原産で多年草の球根植物です。
「牡丹一華(ぼたんいちげ)」や「花一華(はないちげ)」という和名があるように、小さなボタンのような美しさを持っています。
花色は、ピンクや白、赤もありますが、特に紫のアネモネは、ベルベットのようなしっとりとした美しさがミステリアスなイメージを作っています。
秋植え春咲きのアネモネは、5度以下の寒さにあたらないとつぼみができないため、冬の間はしっかりと寒さを感じさせましょう。
日当たりの良い場所に植え、冬を越すと早春の2月?5月ごろまで花を咲かせてくれます。
花言葉の「はかない恋」は、次のようなギリシャ神話が由来になっています。
愛と美の女神・アフロディーテが誤って恋の矢を胸に受けたとき、アドニスという青年が通りかかります。
2人は愛し合うようになりますが、アフロディーテの元恋人である軍神・アレスが嫉妬してアドニスを死に追いやってしまいました。
そして、アドニスが亡くなったときに流れ出た血から、真っ赤なアネモネが咲いたのです。
アネモネの花言葉には、ほかに「あなたを愛します」というものもあります。
立体的な花が咲く春の紫色の花「スカビオサ」
スカビオサは、別名をマツムシソウと言い、日本では俳句の季語としても親しまれてきた植物です。
スカビオサという名前は、この植物が疥癬(かいせん)という病気の治療のために使われていたということから、ラテン語の疥癬=スカビオサが由来になっているとされています。
また、真ん中が盛り上がるように咲く姿が、針山に似ているところから針山=ピンクッションフラワーとも呼ばれることがあります。
高原などに自生していることが多く、寒さに強く暑さに弱い性質があるため、風通しが良いところに植え、高温多湿には注意が必要です。
開花時期は、春咲き種は3月?6月頃、秋咲き種は9月?10月頃となっています。
風に揺れながら咲くはかなげな様子から、花言葉には「風情」のほかに「未亡人」「不幸な愛」という少し悲しいものがあります。
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水耕栽培にも適した春の紫色の花「ヒヤシンス」
ヒヤシンスは、水耕栽培の植物としてご存知の人も多いと思いますが、土壌で育てることもできる球根植物です。
小さな花が形よく集まって咲く様子は、とても可愛らしく、香りも優しい甘さに魅力があります。
ヒヤシンスを庭や鉢に植えた場合は、数年はそのまま春になると花を咲かせてくれるので、初心者にもおすすめのお花です。
ただ、寒さにあてないと花を咲かせないので、冬の間はある程度の寒さを感じさせるようにしてください。
開花は、早春の2月?4月頃の時期です。
ヒヤシンスの花言葉は「ゲーム」「スポーツ」です。
他のお花に比べると少し異色ですが、これはヒヤシンスという名の由来となったギリシャ神話を元にしているためです。
アポロンとゼピュロスという2人の神に愛されていた美少年・ヒュアキントスは、彼の浮気な性格のせいで、ゼピュロスと離れ、アポロンとだけ仲良くなっていきました。
それを嫉妬したゼピュロスは、円盤投げをして遊んでいたアポロンとヒュアキントスに向かって強風を吹かせて邪魔をします。
すると、円盤がヒュアキントスに当たり、彼は亡くなってしまいました。
この時、ヒュアキントスが流した血がヒアシンスとなって咲き、この出来事が花言葉の由来となったのです。
ちなみに紫のヒヤシンスには「悲しみ」という花言葉があります。
初心者におすすめ!春の紫色の花「パンジー」・「ビオラ」
パンジーとビオラは、とてもよく似たお花で、見分け方は花の大きさのみです。
一般的には、4�p以上の花がパンジーで、4�p以下がビオラ、また花が豪華に見える物をパンジー、小ぶりな花をビオラと区別していますが、見分けるのはとても難しいです。
どちらもスミレ科スミレ属で、和名を「三色菫」といい、開花時期もほぼ同じ11月?5月頃となっています。
パンジーやビオラは、苗植えの時期さえ気を付ければ、初心者でも比較的簡単に育てられる植物で、寄せ植えにもおすすめです。
苗植えは、10月中旬?11月下旬の間、最低気温が10度以下になったころを目安にしてください。
そうすれば、冬の間にしっかりと根が張り、春にきれいな花を咲かせてくれます。
よく似たパンジーとビオラは、花言葉も似ています。
パンジーは「もの思い」「私を想って」などがあり、紫のパンジーには、「誠実」「思慮深い」という花言葉があります。
ビオラも「私を思って」や紫のビオラの花言葉「思慮深い」「誠実」などがあります。
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ユニークな見た目の春の紫色の花「ルピナス」
ルピナスは、フジの花を上向きにしたような姿をしていることから、「サカサフジ」「ノボリフジ」「タチフジ」という別名があります。
秋植え春咲きで、暑さと湿気に弱いため、日本のほとんどの地域では1年草となっていますが、北海道などの涼しいところでは、多年草として毎年春の訪れを教えてくれます。
放射状に広がった葉の形も特徴的で、可愛らしい花とともに楽しませてくれます。
高温多湿に弱いルピナスは、風通しが良く水はけの良いところで、十分な日光を当てていれば、ある程度の霜には耐えられます。
開花時期は、4月?6月頃で、春先から初夏の頃まで美しい花を咲かせてくれます。
花言葉は、「想像力」や「貪欲」です。
あまり花言葉らしからぬ「貪欲」とは、ルピナスという名前の由来がラテン語の狼=ループスであることから、狼の貪欲な性格からつけられた花言葉と言われています。
チューリップと仲良し!ムスクの香りの春の紫色の花「ムスカリ」
ムスカリは、草丈が15�pほどの植物で、ブドウのような花の姿で「グレープヒヤシンス」や「ブドウヒヤシンス」という別名があります。
ムスカリという名前は、香りがムスクに似ていることからつけられました。
約6万年前の遺跡からムスカリの花が死者を埋葬するときに手向けられた跡が見つかり、歴史上最古の埋葬花と考えられています。
耐寒性が強く、一度植えるとそのまま数年は、花を咲かせてくれるので、世話が楽で初心者にもおすすめの植物です。
チューリップとの相性が良く、寄せ植えするとチューリップを引き立てる最高のわき役となってくれます。
開花時期は、3月?5月で春の訪れとともに美しい花を咲かせてくれます。
花言葉には、「明るい未来」や「通じ合う心」というものの他に「絶望」「失意」というネガティブな言葉があります。
これは、埋葬花としての歴史が影響しているようです。
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まとめ
濃い紫色、薄紫、青紫など、さまざまな紫の花を紹介しましたが、あなたの好きな紫の花はありましたか?
春はピンクのイメージが強い人が多いかと思いますが、花束やアレンジメント、ガーデニングなどでは紫のお花が入ることで、落ち着いた気品が出てとても素敵になります。
紫の花色は、差し色として、メインの花色として、またほかのお花の素晴らしい引き立て役としても、使いやすい色です。
春のお庭を彩るときは、ぜひ紫のお花も植えて植えてみてください。
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