ハーバリウムとは、もとは植物標本という意味で、植物の長期保存の方法を応用し、ドライフラワーや造花を瓶の中でオイル漬けした観賞用のインテリアアイテムです。
ハンドメイドも可能で、お花のタイプや使用するボトル選びによって全く違った雰囲気になるため、眺めるだけでなく作って楽しめるアイテムとして人気があります。
本記事ではハーバリウムの中でも「固めるハーバリウム」について、気になる特徴や作り方などを紹介します。
そもそも
固めるハーバリウムとは?
固めるハーバリウムとは、専用のオイルの中に美しい花や材料を閉じ込める技術です。
通常のハーバリウムとは異なりオイルが固まるため、中身が動くことはありません。
イメージ通りに材料を配置しやすく、透明度が高く美しい見た目が魅力で人気です。
固まるまで時間はかかるものの、レジンのようにライトを当てる必要もありません。
完成後のオイル漏れのリスクもなく安心です。
それでは、固めるハーバリウムで使う専用のオイルについて紹介します。
固めるハーバリウムの種類
固めるハーバリウムで使われるオイルの中から、今回はメジャーな4種類をピックアップしました。
クリアリウム
非常に透明度が高くキレイな仕上がりになるのが特徴です。
硬化時間は長く、1日ほどかかります。
匂いが少なく粘度も低いので、扱いやすいオイルです。
エターナルアイス
クリアリウムと同様に、透明度が高く硬度も高めです。
硬化時間は1日ほどで、染料との混ざりがよいので、アレンジの幅も広がります。
クリスタルレジン
手芸店などでも販売されているので、手軽に購入できます。
硬化時間は2日ほどかかりますが、粘度が低く扱いやすいため、調整が簡単です。
マジカルウォーター
ゴムのような弾力性をもつ仕上がりが特徴です。
水のような見た目から水中花のようなデザインやアートフラワーに使われます。
気泡や氷のような幻想的な演出も可能です。
気温により硬化時間が異なるものの、10時間〜24時間ほどで固まります。
レジンとの違いについて
レジンはUVライトを当てて固めるため、短時間で仕上がりますが、そのための専用機材が必要です。
一方、固めるハーバリウムはライトを当てる必要がないので、専用の機材を必要としません。
しかし、硬化するまでにオイルの種類にもよりますが半日から3日ほど必要なため、完成までに時間がかかります。
また、透明度にも違いが出ます。
レジンは大きめの作品を作ると透明度が低くなる傾向です。
しかし、ハーバリウムは大き目の作品にも適しており、ガラスのように透明度が高く美しく仕上げられます。
道具の準備や制作時間、仕上がりのイメージやサイズによって使い分けるといいでしょう。
関連記事:家で海を感じよう!海をイメージしたハーバリウムの作り方
固めるハーバリウム作りの準備
必要な道具一覧
固めるハーバリウムを作るのに必要な道具は、次の8点です。
基本的に腐敗してしまう生花は、ハーバリウムに不向きです。
造花(アーティシャルフラワー)やドライフラワー、プリザーブドフラワーなど腐らないよう処理してある花材が使われます。
ハーバリウムオイルは前述した4種類の他、インアリウムやスーパークリアエポキシレジンなどがあります。
選び方のポイントは後述するので、チェックしてみてください。
花や材料を色染めしたい場合、染料も必要です。
アルコールインクなどが使われます。
ハーバリウムで使われる容器はガラス製がほとんどです。
どのようなデザインにしたいのか、型も含めてトータルコーディネートしましょう。
花材など容器の中に入れる材料をレイアウトする際に使います。
容器の深さを考えて、長さに余裕があるピンセットを選びましょう。
混合液を素早く混ぜるために使います。
シリコン樹脂など、オイルによって固まるスピードが速いものもあるため、撹拌機があると慌てずに作業できて便利です。
撹拌機を使うと気泡ができてしまいます。
気泡の無い作品を作りたい場合には、撹拌機の後に脱泡機を使うのがおすすめです。気泡を取り除いてくれます。
透明度や硬化の具合は、2液の割合によって変わります。
イメージした仕上がりに近づけるためには、測量計で測りましょう。
関連記事:ハーバリウムに必要な材料とは?大切な選び方のポイント
固めるハーバリウムに使う
オイルの選び方
クリアリウム、エターナルアイス、マジカルウォーター、クリスタルレジンの4つのオイルを紹介しましたが、どのオイルを使うといいか迷う人もいるでしょう。
ここからはオイルを選ぶ際のポイントを紹介します。
硬化時間
硬化時間はオイルの種類や季節、気温によって変動します。
完成するタイミングから逆算したり、仕事にいく日中や寝ている時間に硬化させたりして、必要な硬化時間を目安にして完成まで多めに見ておくといいでしょう。
気泡の入りづらさ
気泡の入りづらさは、オイルの粘度で変わります。
エターナルアイスなど粘度が低いものは気泡が入りづらく泡切れがよいため、仕上がりがクリアです。
透明度
透明度はオイルの質や量、割合で変わることがあります。
クリアリウムやエターナルアイスはガラスのような透明度が特徴です。
シリコンオイルとミネラルオイル(流動パラフィン)を混ぜると、分離したり濁りが出たりするので注意してください。
表面が滑らかに仕上がるか
仕上がった表面の滑らかさは、粘度やオイルの性質によって異なり、硬度が高いほど滑らかな仕上がりになります。
例えば、エターナルアイスを使って鏡面仕上げシリコン型で硬化させると、文字通り鏡面のような美しい仕上がりです。
着色のしやすさ
油性の着色料を使っている花材や材料は、時間が経つにつれて色落ちし、色がオイルへ溶け出すことがあります。
色落ちを避けたい場合は、ドライフラワーがおすすめです。
また、水性の着色料を使ったプリザーブドフラワーは、色が落ちにくく長く楽しめます。
関連記事:ハーバリウム初心者はキットを使って作ろう!おすすめハーバリウムを紹介
固めるハーバリウムの
作り方とポイント
固めるハーバリウムの作り方は、シンプルです。
ここからは作り方の手順とアレンジのポイントを紹介します。
作り方の手順
複雑な手順はなく、とてもシンプルです。
- 瓶を洗浄、消毒する
- 花材をカットしてサイズやデザインを調整する
- 花材を透明の容器またはガラス瓶に入れる
- 2液を混ぜて容器に入れて、空気を抜いて蓋をしめる
ポイント
ハーバリウムは、置くだけで部屋が華やぎます。
花を飾りたいけど忙しくて生花のお世話が難しい人や、引っ越したばかりで生花の贈り物は手間が増えてしまう人へのプレゼントにおすすめです。
また、小さなサイズで作ることもでき、スペースを圧迫することなく飾れます。
固めるハーバリウムはオイル漏れの心配がなく、会社のデスクでペーパーウェイトやブックスタンドとしても使えることから、自分用にはもちろん、就職や転職、昇進など仕事関係のお祝いとしても選ばれています。
固めるハーバリウムを
作る際の注意点
最後に、固めるハーバリウムを作る際の注意点を解説しましょう。
安全に配慮しましょう
固まるハーバリウムは、硬化する際に発熱します。
量や気温などによって200℃以上の高温になることもあるため、安全への配慮が欠かせません。
オイルが皮膚についたり、発生した蒸気を吸い込んで体調が悪くなるケースもあるため、作業中は保護メガネや防毒マスク、手袋を着用しましょう
近くに子供やペットがいないか注意する
オイルが目に入ったり誤飲したりしないように注意しましょう。
また、蒸気やガスを吸い込むと体調が悪くなる危険性もありますので、子どもやペットが触れないよう注意が必要です。
気分が悪くなったら病院へ
万が一、目に入ったり蒸気やガスを吸い込んだりして気分が悪くなった場合はすぐに医師の診察を受けましょう。
使ったオイルも容器ごと持って行くと、すぐに成分が分かるため医師も診察しやすくなります。
固めるハーバリウムは手作りが簡単!
プレゼントにも最適
本記事では、固めるハーバリウムについて詳しく解説しました。
固めるハーバリウムは花材を調整しやすく、オイル漏れの心配もありません。
扱いやすいアイテムなので、お部屋のインテリアやギフトとしてもおすすめです。
固めるハーバリウムに興味がある方は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
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