2024/06/01

「献花」と「供花」のどっち?混同しやすい両者の違いや贈り方を解説

「献花(けんか)」とは、故人に一人ずつ花を捧げる行為で、主にキリスト教の葬儀で採用されるものです。一方で、「供花(きょうか)」とは、故人と親しい関係の人がお通夜までに贈る花です。

上記の通り、故人に花を贈りたい人は供花を贈ることになります。葬儀社に確認しながら手配します。

献花や供花という言葉は日常生活で見聞きすることがないので、意味や違いがわかりにくいですよね。
しかし、それぞれの意味や違い、正しい作法を知らないと、遺族に迷惑をかけてしまう恐れもあるため要注意。

そこで、本記事では献花と供花の違いや供花の贈り方、献花のやり方を解説します。混同しやすい二つの違いをしっかり理解して、スムーズに葬儀の準備を進められるようになりましょう。

献花と供花の違いを解説|葬儀に関するその他の花も

献花と供花の違いを解説|葬儀に関するその他の花も

「献花(けんか)」と「供花(きょうか)」は、どちらも葬儀の花にまつわることですが、手配をする人や目的が異なります。

ここでは献花と供花に加えて、葬儀にまつわる花である「枕花(まくらばな)」と「花輪(はなわ)」についても解説します。

葬儀にまつわる花を混同してしまうと、なかなか調べものが進みません。供花を贈りたい人も、まずは花の種類や違いを見ていきましょう。

献花用の花は喪主が手配する

「献花(けんか)」とは、告別式中に参列者が故人に花を捧げる行為のことです。

献花は主にキリスト教の葬儀で採用されるものなので、馴染みがない人も多いかもしれませんが、仏教の葬儀で行われる焼香のようなものと考えてください。

焼香と同じで献花も参列者一人ひとりが行います。自分に順番が回ってきたら、受け取った一輪の花を故人に捧げることで最後の別れを告げます。

献花について知っておいていただきたいのは、「献花用の花は喪主が手配する」ということです。
そのため、参列者は式中に用意された花で献花します。参列者が花を持参すると、たとえ好意であったとしても、遺族に迷惑をかける可能性がありますので、自分で手配することはひかえましょう。

参列者が手配するのは、このあとに紹介する供花です。故人や遺族に花を贈りたい人は、供花の贈り方を確認しましょう。

献花の基本的なやり方は本記事の後半で紹介しています。式で献花をする予定の人は、当日焦ってしまわないようにそちらもご確認ください。

供花は参列者から個人や遺族に贈る

「供花(きょうか)」とは、故人と親しくしていた人がお通夜までに贈る花です。
供花には、故人や遺族にお悔やみの気持ちを伝えるという役割に加えて、お通夜や式中に会場を飾るという役割もあります。

供花は故人と関係がある人なら、基本的に誰が贈っても問題ありません。葬儀にまつわる花は複数ありますが、「参列者として花を贈りたい」という場合は、供花を贈ることを考えましょう。

供花を贈るなら、マナーを知っておく必要があります。たとえば、「遺族が供花を辞退していないか確認する」「白を基調とした花にする」「お通夜が始まるまでに届くよう手配する」などです。

供花は故人や遺族のことを想って贈る花です。しかし、マナーを知らないと、かえって故人や遺族を困らせる恐れがあります。

供花を贈りたい人は、失礼に当たらないように事前にしっかりマナーや手配方法を確認しましょう。
供花の贈り方やマナーは後ほど解説します。供花を贈って喜んでもらうためにも、チェックしておいてください。

葬儀の花には「枕花」や「花輪」もある

葬儀にまつわる花は、「献花(けんか)」と「供花(きょうか)」の他にもあります。
ここでは葬儀で贈られる代表的な花である「枕花(まくらばな)」と「花輪(はなわ)」、さらに葬儀後の法要で贈られる花を紹介します。

枕花とは、故人と深い関係にあった人から贈られる花のことです。枕花はお通夜までに故人宅へ届けられ、お通夜が終わるまで故人の枕元に飾られます。

参列者から故人に贈る花である点は、供花と枕花の両方に共通しています。しかし、参列者なら誰でも贈れる供花に対して、枕花を贈れるのは故人と深い関係にあった人のみです。
たとえば、枕花は故人と血縁の強い人やプライベートでとくに仲が良かった人から贈られます。

枕花は誰でも贈って良い花ではないという点に注意してください。

花輪とは、故人と関係が深い団体から贈られるものです。たとえば、故人が所属していた会社から贈られることがあります。
花輪はスタンド式であり、サイズは1メートルから3メートルほどです。そのため、会場の入口など外に飾られます。

花輪は葬儀社に依頼することで手配できます。しかし、サイズが大きく設置スペースの確保が難しいことから、花輪の受け取りが辞退されていることも少なくありません。

そのため、花輪を贈るかを検討しているなら、遺族が受け取りを辞退していないかを最初に確認しましょう。

お悔やみの気持ちを込めた花は、葬儀後にある法要でも贈られます。法要にはさまざまな種類がありますが、代表的なものは、「初七日(しょなのか)」や「四十九日(しじゅうくにち)」です。

法要時に贈られる花にも「花の色は白を基調としたものにする」「前日か前々日に届くよう手配する」などのマナーがあります。

いずれの花を贈るときも、決まりごとを事前に確認して、遺族に迷惑をかけないように花を手配することが重要です。

関連記事:葬儀の「献花」とは?花の手配方法やマナーを知って式にのぞもう

関連記事:お葬式にまつわる4種類の花|枕花・供花・献花・花輪を解説

供花の贈り方やマナー

供花の贈り方やマナー

前項でお伝えした通り、参列者がお悔やみの気持ちを込めて贈るのが「供花(きょうか)」です。
そんな供花を贈りたいという人も多いのではないでしょうか。
基本的な贈り方とマナーを知って、適切に供花を贈れるようになりましょう。

供花を贈るなら始めに葬儀社に確認する

供花を贈るなら、遺族が供花を辞退していないかを葬儀社に確認してください。辞退をしているのに花が届いたら遺族は困ってしまいます。

また、遺族が「芳名板形式(ほうめいばんけいしき)」を採用している場合も、供花を贈ってはいけません。芳名板形式とは、供花の申込をした参列者の名前を、式場に設置した札が並んだ板に記載するものです。
芳名板形式は、とくに大規模な葬儀で採用されることが多い形式です。

供花の受け取りが遠慮されていることや、芳名板形式が採用されていることを見落としたまま供花の手配を進めると、準備に費やした時間が無駄になってしまいます。

葬儀社への確認は、電話で斎場の名前や葬儀の日時、喪家の名前を伝えるだけで簡単にできます。
供花を贈るなら、忘れずに最初に葬儀社に確認しましょう。

供花の手配は葬儀社か花屋で行う

供花の手配方法は、「葬儀社に依頼する」と「自身で選んだ花屋に依頼する」の二通りです。

ただし「花の雰囲気を統一するため」という理由で、他の花屋の供花を受け付けていない葬儀社もあります。「大切な故人に贈る花は自分で選びたい」「行きつけの花屋の花を贈りたい」という場合は、他の花屋の供花を贈れるかを確認しましょう。

他社の花を受け付けている場合は、式場の他の花と調和の取れた花を贈るために、どんな雰囲気の花が良いかも質問しておきます。
葬儀社が花の色や花のスタイルなどを教えてくれるはずです。花屋に注文するときに漏れなく伝えられるように、メモを取っておきましょう。

供花には白を基調としたアレンジメントを贈るのが一般的

一般的によく贈られる花の特徴を知っていると、供花を選びやすくなります。そこで、良く贈られる花の色とスタイルを紹介します。

供花の色は、白を基調として淡い色を加えるのが基本です。たとえば、男性向けなら白に淡いブルー、女性向けなら白に淡いピンクを加えることがあります。
派手な色の花が使われることはあまりありません。故人の好みであっても、基本的には目立つ色は使わないようにしてください。

定番の花のスタイルは、花がかごや花瓶に入った「アレンジメント」や、花が脚のついた台に飾られた「スタンド式」です。

供花の相場は7,000円から15,000円

故人との関係によっても変わりますが、供花の相場は1基(1つ)あたり、7,000円から15,000円です。
近親者は供花を2基贈ることもあり、その場合の相場は14,000円から30,000円です。

値段に迷った場合は、10,000円前後の供花を選ぶと良いでしょう。5,000円の供花は小ぶりな印象になりますが、10,000円の供花ならちょうど良いサイズです。
また、10,000円の供花は、遺族に気を遣わせにくいという点でもおすすめです。

供花はお通夜が始まる前に遺族の元へ届ける

基本的に供花は、お通夜が始まる前までに遺族の元に届ける必要があります。供花はお通夜から告別式までの間に式場に飾られるためです。
そのため、故人が亡くなった旨の報告を受けたら、できるだけ早く手配に取りかかります。

しかし、仕事や家庭の都合でお通夜前に間に合わないこともあるでしょう。そんなときは、葬儀社に相談してみてください。告別式の前までに届けば、式場に飾ってもらえるケースもあります。

関連記事:お供え・お悔やみの花マナーやタブー�hふさわしい色や花を紹介

関連記事:お供え花として贈りたいアレンジメントの選び方をシーン別に解説

献花のやり方やマナー|手配する方法も紹介

献花のやり方やマナー|手配する方法も紹介

ここでは参列者が「献花(けんか)」を行う手順や、喪主が献花用の花を手配する方法を紹介します。
献花のある葬儀に参列する人や、献花のある葬儀を催す人は確認しておいてください。

献花の一般的なやり方

前項でお伝えしたように、献花は参列者が一人ひとり故人に花を捧げる行為です。焼香のように一人ずつ順番に行うため、あらかじめやり方を知っていないと戸惑ってしまうでしょう。

献花のやり方は宗派や地域による違いもありますが、基本的な手順は次の通りです。

  1. スタッフから花を両手で受け取る
  2. 遺族に一礼して祭壇の前まで進む
  3. 故人に向けて一礼する
  4. 花を献花台に置く
  5. 2、3歩下がって祭壇へ一礼する
  6. 神父や遺族に一礼して席へ戻る

気をつけたいのは、「スタッフから花を受け取るとき」と「花を献花台に置くとき」です。このときは花の向きに注意する必要があります。

受け取るときの花の向きは、花びらが右、茎の根元が左に向いた状態です。献花台に置くときの花の向きは、花びらが体、茎の根元が祭壇に向いた状態です。

献花台にお供えする前に、花を回転させて向きを変えることになります。細かなことですが、遺族や周囲の参列者が気持ちよく故人と別れを告げられるよう注意しましょう。

喪主は葬儀社を通して献花用の花を手配する

ここでは葬儀の喪主を務める方に向けて、献花用の花を手配する方法を紹介します。

献花の花の手配は、葬儀社に依頼するのが一般的です。担当の葬儀社に献花を採用する旨を伝えてください。

献花の花の依頼ができれば、あとは葬儀社が喪主に確認しながら手配を進めてくれます。葬儀社に任せれば基本的に問題ありませんが、料金の相場は目安として知っておくほうが良いでしょう。

花の種類や時期にもよりますが、献花の花は1本あたり300円が相場です。そのため、参列者が30名の場合は9,000円、参列者が50名の場合は15,000円を目安と考えます。

まとめ

「献花(けんか)」と「供花(きょうか)」は、どちらも葬儀の花にまつわるものです。しかし、ふたつは花を手配する人やマナーが異なります。

故人と遺族に贈る花は供花です。遺族が供花を辞退していないことを確認したうえで、お通夜に間に合うよう手配しましょう。

お悔やみの花は、オンラインでの購入も可能です。花の色や雰囲気についての要望があれば、一度お問合せしてみるとよいでしょう。

関連記事:お葬式などで供える「お供え花」知っておくべきマナーのすべて

RECOMMENDED ITEM