2024/06/07

お葬式にまつわる4種類の花|枕花・供花・献花・花輪を解説

お葬式で花を贈りたい人がまず知るべきことは、葬儀にまつわる花の種類です。
葬儀で用いられる代表的な花は、「枕花(まくらばな)」「供花(きょうか)」「献花(けんか)」「花輪(はなわ)」の4種類ですが、それぞれ違ったマナーがあります。

種類ごとのマナーを知らないと、遺族に迷惑をかける恐れがあります。たとえば、献花は本来遺族が準備するものなので、参列者が持参すると遺族側を困らせてしまうでしょう。

本記事では、お葬式にまつわる花ごとの手配方法やマナーを解説します。
それぞれの特徴を知って、お悔やみの気持ちを適切に伝えられる花を贈れるようになりましょう。

献花・供花とあと2つ?お葬式にまつわる4種類の花

献花・供花とあと2つ?お葬式にまつわる4種類の花

お葬式にまつわる花は次の4種類です。

  • 枕花(まくらばな)
  • 供花(きょうか)
  • 花輪(はなわ)
  • 献花(けんか)

種類ごとに、誰がどのタイミングで贈る花かを説明します。適切に花を贈れるように、それぞれの花の大まかな特徴を知ることから始めましょう。

枕花(まくらばな)

「枕花(まくらばな)」とは、故人と関係が深かった人が贈る花です。たとえば、血縁の強い人や故人とプライベート・仕事で親しくしていた人が贈ります。

枕花は臨終から通夜が終わるまで、安置されている故人の枕元に飾る花です。そのため、贈るなら、亡くなった知らせを受けてすぐに手配してご自宅に届けます。

枕花は参列者が贈る花ですが、誰でも贈れる花ではない点に注意してください。

枕花には、故人が亡くなった悲しみを遺族と分かち合うという意味もあります。故人と縁が深かった人は、哀悼の気持ちを込めて贈ると良いでしょう。

供花(きょうか)

「供花(きょうか)」とは、故人と関係があった人から贈られる花です。

前項で紹介した枕花とは違い、供花は故人と関係があった人なら誰でも贈れます。訃報を受けて「花を贈りたい」と思った人が贈るのは、供花になるでしょう。

供花は会社や友人一同のようにまとめて贈られることもあります。同じく葬儀の案内を受けている人がいたら、供花の出し方について相談してみてください。

供花はお通夜と告別式の間、会場内の祭壇の周りに飾られます。そのため、供花を贈るなら、お通夜が始まる前までに会場に届くように手配しましょう。

もしお通夜に間に合わないなら、告別式までに贈っても問題ありません。葬儀社に連絡しておけば、式場のスタッフが告別式までに飾ってくれるでしょう。

花輪(はなわ)

「花輪(はなわ)」とは、花を輪のように並べたスタンド式のものです。花輪は慶事にお祝いの意味を込めて贈られることもありますが、葬儀で贈る花輪はお悔やみの気持ちからお供えされます。

花輪は故人が所属していた会社など、故人と深い関係のあった団体から贈られます。
造花で作られることの多い花輪は、一般的な花屋には注文できません。そのため、花輪を贈りたいときは、葬儀社に手配をお願いすることになります。

献花(けんか)

「献花(けんか)」とは、告別式中に参列者が故人に花を捧げる行為のことです。参列者は一人ずつ式場の前方に進み、花を一輪捧げます。

献花は最後のお別れをする儀式の一つであり、すべての葬儀で行われるものではありません。仏教の葬儀では献花の代わりに焼香が行われるので、日本では献花を行う機会は多くはないでしょう。

献花を採用した葬儀に参列する人は、献花用の花を持参しないようにしましょう。献花用の花は遺族側が用意することになっているためです。
好意からであっても、参列者が持参すると、遺族側に迷惑をかける恐れがあるので、注意しましょう。

関連記事:「献花」と「供花」のどっち?混同しやすい両者の違いや贈り方を解説

お葬式で「枕花(まくらばな)」を手配する方法やマナー

お葬式で「枕花(まくらばな)」を手配する方法やマナー

「枕花(まくらばな)」は、一般的な花屋で手配できます。

枕花として贈るなら、「アレンジメント」というスタイルの花を選びましょう。
アレンジメントとは、花を給水スポンジに活けて、かごや花瓶などの容器に入れたものです。花束と違ってそのまま飾れるアレンジメントは、遺族側に手間をかけさせないので、好まれています。

費用は故人との関係の深さによって変わりますが、5,000円から30,000円が相場です。
いくらのものを注文するか悩む場合は、10,000円前後のものを選ぶのがおすすめです。安っぽさを感じさせず大きすぎない10,000円の花なら、遺族側に気持ちよく受け取ってもらえるでしょう。

枕花を選ぶときは、花の色も意識してください。
枕花は白い花のみで作ったアレンジメントを選ぶべきとされています。淡い色の花もほとんど使われることはありません。
赤やオレンジなどの派手な色だと目立ってしまいます。そのため「故人が好きだったから」という理由であっても、派手な色は避けてください。
定番の花は白のカーネーションやユリ、菊です。花選びで迷っているなら、定番の花をメインに使ったものを選ぶと良いでしょう。

枕花はお通夜までに故人宅に届ける必要があります。そのため、訃報を受けたらすぐに手配を進めます。
枕花は故人宅に直接持っていっても、花屋から贈ってもらってもかまいません。直接持っていけば、顔を見てお悔やみの気持ちを伝えられます。花屋から贈ってもらえば、仕事で忙しい人や遠方の人でもすぐに届けられます。
どちらにも良い点があるので、届ける方法は自身の状況に合わせて選んでください。

お葬式で「供花(きょうか)」を手配する方法やマナー

お葬式で「供花(きょうか)」を手配する方法やマナー

「供花(きょうか)」を贈るなら、最初に葬儀社に連絡しましょう。
遺族が供花や供物の受け取りを辞退している場合があるためです。辞退しているのに供花を贈ってしまうと、遺族を困らせてしまいます。

供花の受け取りを辞退しているかどうかは、遺族ではなく葬儀社に確認する点にも注意してください。
遺族は葬儀の準備であまり余裕がありません。もし、参列者一人ひとりに返答をしていたら、大変な負担になります。遺族に直接確認しないようにしましょう。

供花を辞退していない場合は、そのまま葬儀社に供花の手配を依頼するか、自身で花屋に依頼するかになります。

葬儀社に依頼する場合の手順は次の通りです。

  1. 遺族が供花を辞退していないかを確認する
  2. 供花を贈りたい旨を伝える
  3. 故人との関係や名前を伝える

他の花屋に依頼する場合は、次のような流れです。

  1. 遺族が供花を辞退していないかを確認する
  2. 他の花屋の供花を持ち込み可能かを確認する
  3. 注文したい花屋に供花を買いたい旨を伝える
  4. 故人との関係や名前を伝える
  5. いつどこに花を届けてほしいかを伝える

上記のように、他社の花の持ち込みが可能なら、自分で選んだ供花を届けることもできます。
「故人のためにこだわって選びたい」「お気に入りの花屋がある」という場合は、自身で花屋に依頼すると良いでしょう。

供花の相場は、7,000円から15,000円です。供花は2基(2つ1組)で贈られることもありますが、その場合の相場は、14,000円から30,000円です。
購入するときの目安としてください。

花のスタイルは、容器に花が入っている「アレンジメント」や、脚のついた台に花を飾った「フラワースタンド」が一般的です。
色は、白を中心として薄ピンクや薄紫などの淡い色を加えるのが基本とされています。

自身で他の花屋に注文する旨を伝えると、葬儀社がどんなスタイルや色の花が良いか教えてくれます。葬儀社から聞いた内容をもとに花屋に依頼すると、式場の他の花と馴染む供花を手配できます。

供花は立札と一緒に贈られますが、立札の書き方にもマナーがあるので注意しましょう。
立札の書き方は、会社から贈る場合と連名で贈る場合、個人で贈る場合で異なります。それぞれの書き方は、次の通りです。

贈り元 記載内容
会社 会社名と代表者の役職、代表者の氏名
会社の部署の全員 会社名と部署名
会社の部署の一部メンバー 会社名と部署名、「有志一同」
連名 氏名(地位の高い人から順に右側に記載)
※人数が多い場合は、「友人一同」のように記載
個人 個人名のみ

供花の手配方法やマナーに馴染みがなく心配になるかもしれません。
しかし、花屋や葬儀社に教えてもらった通りに進めれば問題なく手配できるので、ご安心ください。

お葬式で「花輪(はなわ)」を手配する方法やマナー

お葬式で「花輪(はなわ)」を手配する方法やマナー

「花輪(はなわ)」を贈る場合は、まず担当の葬儀社に連絡を取り、遺族が花輪を受け付けているかを確認します。
実は花輪を辞退する遺族は少なくありません。花輪は1つ1メートルから3メートルと大きいので、置き場所の確保が難しいためです。

とくに都心部では置き場所はなかなか見つからず、花輪を受け付けていることはまれ。遺族が花輪を辞退している場合は、アレンジメントの供花を贈れないかを確認してみると良いでしょう。

花輪を出すなら、手配はすべて葬儀社に依頼します。葬儀社が確認してくれるので、どんな花輪を出すべきか悩むことは少ないでしょう。

ただし、花輪の相場は目安として知っておいたほうが良いのでご紹介します。

花輪は1基(1つ)あたり10,000円から20,000円が相場。個人との関係によっては、相場以上の花輪を出すこともあります。たとえば、個人が役員を勤めていた会社から出すなら、通常よりも上等な花輪を選ぶのが基本です。

ここまで花輪の手配方法やマナーを説明しました。手配方法やマナーは地域や信仰している宗教によって変わりますが、上記内容は一般的な手配方法として知っておいてください。

お葬式で「献花(けんか)」のやり方やマナー

お葬式で「献花(けんか)」のやり方やマナー

前提として、「献花(けんか)」に使う花は、参列者側ではなく遺族側が準備するものです。お悔やみの気持ちを込めて花を贈るなら、前項で紹介した「枕花(まくらばな)」や「供花(きょうか)」を届けましょう。

献花を行う葬儀では、参列者は一人ずつ故人に花を捧げます。失礼な振る舞いをしないように、事前にやり方を確認しておきましょう。

献花の一般的なやり方は次の通りです。

  1. スタッフから花を両手で受け取る
  2. 遺族に一礼して祭壇の前まで進む
  3. 故人に向けて一礼する
  4. 花を献花台に置く
  5. 2、3歩下がって祭壇へ一礼する
  6. 神父や遺族に一礼して席へ戻る

スタッフから花を受け取るときと花を献花台に置くときでは、花の向きが異なる点には注意しましょう。
スタッフから受け取るときは、花が右手、茎の根元が左手来るように持ちますが、献花台に置くときは、花が自身の体側、茎の根元が前方の祭壇側に向けます。
言い換えると、「捧げる直前になったら、横向きに持っていた花を縦向きになるよう回転させる」ということです。戸惑いやすいポイントなので、覚えておいてください。

喪主が信仰する宗派が「プロテスタント」か「カトリック」かによって変わる部分もありますが、いずれの場合も上記を基本としておさえておきましょう。
基本的な手順がわかっていれば、応用しやすいですよ。

日本で最も多い仏教式の葬儀では献花は採用されません。そのため、献花のやり方に馴染みがなく、心配な人も多いかもしれません。
しかし、一つひとつの動作は単純なものです。また、献花は故人と関係が深い人から行うので、自分の順番が回ってくるまで他の人が花を捧げる様子を確認できます。
緊張するかもしれませんが、落ち着いて手順を一つずつ行えば問題なくできるでしょう。

関連記事:葬儀の「献花」とは?花の手配方法やマナーを知って式にのぞもう

お葬式後の法要で用いる花の手配方法やマナー

お葬式後の法要で用いる花の手配方法やマナー

お通夜や告別式の花を紹介してきましたが、葬儀後の法要に用いられる花もあります。

葬儀後の法要の時期は、葬儀前後ほどあわただしい時期ではありません。遺族が落ち着いた状況で花を受け取れる法要時も、お悔やみの気持ちを込めた花を届けるには良いタイミングといえます。

花を贈ることがとくに多いのは「初七日(しょなのか)」や「四十九日(しじゅうくにち)」の法要です。
いずれの法要に贈る場合も、法要の前日か前々日に花を届けられるように手配しましょう。鮮度を考えると、花は法要の直前である当日に届けるべきです。しかし、遺族は当日、法要の準備で忙しくなります。そのため、前日か前々日に届けるのがベストです。

花は一般的な生花店で注文します。相場の5,000円から10,000円を目安に花を選びましょう。
花のスタイルは「アレンジメント」を選ぶのがおすすめです。容器に花が入ったアレンジメントは受け取ってそのまま飾れるので、遺族側に負担をかけません。

葬儀の花と同じように、法要の花にも色に関するマナーがあります。

ふさわしいとされる色は地域によって異なりますが、四十九日の法要までは「白・黄・紫」の3色、四十九日以降は「白・黄・紫・赤・ピンク」の5色から選ぶのが基本です。

法要で使わなければいけない花はありませんが、定番である菊やユリ、胡蝶蘭(こちょうらん)、カーネーションを取り入れるのをおすすめします。
定番の花が入っていると仏花らしさが出ますよ。飾ったときに他の人から贈られた花と調和しやすい点もおすすめの理由です。

関連記事:お供え花として贈りたいアレンジメントの選び方をシーン別に解説

関連記事:お供え・お悔やみの花マナーやタブー丨ふさわしい色や花を紹介

葬儀で供花をもらった喪主がやることは?

葬儀で供花をもらった喪主がやることは?

葬儀で供花をもらった場合、「返礼不要」と明記されていない限りは、お返しすることをおすすめします。

ちょっとしたお返しであっても、もらったほうがうれしいものです。供花を贈ってくれたのは、故人と親しい関係にあった人。
そんな故人の大切な人に喜ばれるのは、故人としてもうれしいはずです。

「お返しは香典に対してはすべきだが、お供えものである供花には不要」という考えもあります。しかし、香典と供花はどちらも遺族と故人を想って贈られるものです。
ご礼状だけでなく品物も一緒に贈るのがおすすめです。

葬儀でもらった供花のお返しの品は、四十九日の法要のあとに届けましょう。故人が亡くなってから49日間は、世間一般の交わりから離れて故人をいたむべきとされているためです。
ただし、花をもらったお礼は葬儀が終わって1週間以内を目安に、電話やお礼状で伝えましょう。贈った花が届いていないか心配をかけないためです。

お返しの品の相場は、いただいた供花の金額の半額から3分の1ほどです。香典と供花の両方をいただいた場合は、合算した金額の半額から3分の1ほどが相場と考えます。
香典と供花の両方をいただいた場合は、品物もわける必要はありません。

いただいた供花の金額は明確にはわかりませんが、花のサイズから大まかに推測できます。比較的小さな花なら5,000円、一般的なサイズは10,000円、スタンドがついた花なら15,000円ほどが目安です。

供花のお返しの品は、香典のお返しや一般的な法事のお返しと同じ。「不幸が消えるように」という意味を込めて、使うとなくなる「消え物」を選ぶケースが多いです。
食べるとなくなる調味料・お茶・お菓子や、使うとなくなる潜在・石鹸・タオルはよくお返しの品に選ばれます。

お葬式にまつわる花はどこに頼む?

お葬式にまつわる花はどこに頼む?

お葬式にまつわる花である「枕花(まくらばな)」や法事の花は、一般的な生花店で手配することになります。
葬儀社が認めているなら、自分で注文した花を「供花(きょうか)」として遺族に届けることも可能です。

お葬式の花を自分で注文する場合は、実店舗の花屋か通販の花屋を利用することになります。実店舗と通販ではメリット・デメリットが異なります。

自分に合ったお店で購入できるように、それぞれの特徴を見ていきましょう。

実店舗の花屋

実店舗の花屋のメリットは、店員に対面で相談できることです。

ここまで紹介した通り、葬儀の花にはさまざまなマナーがあります。花の色や花のスタイル、相場などが定められており、「花を選びにくい」と感じる人も多いでしょう。
店員に相談できる実店舗なら、迷ったときでも安心です。

実店舗の花屋のデメリットは、店舗を探す手間や来店する手間がかかる点です。

自宅の近くに知っている花屋がある場合は、すぐに注文できます。しかし、知っている花屋がない場合は、店舗探しから始めないといけません。
自宅からの距離や営業時間、評判を調べて探すのには時間がかかります。
お店が見つかった後も、店舗まで足を運ぶ必要があるので、仕事で忙しい人が実店舗の花屋を利用するのは難しいケースが多いでしょう。

実店舗の花屋は自宅の周囲に知っている花屋がある人や、比較的時間に余裕がある人におすすめです。しかし、近くに知っている花屋がない人や仕事で忙しい人は、次項で紹介する通販の花屋を利用するほうが良いでしょう。

通販の花屋

通販の花屋のメリットは、手間をかけずスピーディに注文できる点です。

実店舗の花屋と違って通販ショップなら、営業時間や自宅からの距離を気にする必要がありません。そのため、良さそうなお店を簡単に見つけられます。
通販の花屋は、注文時に来店する必要もありません。また、スマートフォンで24時間いつでも注文できるので、急いで花を届けたいときに便利です。
仕事で忙しい人も、無理なく注文できるでしょう。

通販の花屋のデメリットは、直接店員に相談できる実店舗よりも、疑問を解消しづらい点です。通販ショップで購入するなら、最低限のマナーは自分で調べる必要があります。

しかし、検索は来店するよりも時間をかけずに疑問を解決できます。日常生活で検索を行う人なら大きな問題にならないでしょう。

また、相談ができる花屋も少なくありません。もちろん、相談時はメールや電話を使うので、都合の良いタイミングに疑問を解消できますよ。

まとめ

お葬式にまつわる花は、「枕花(まくらばな)」「供花(きょうか)」「花輪(はなわ)」「献花(けんか)」の4種類です。

遺族に迷惑をかける可能性があるので、故人に花を贈りたい人は4つの花の特徴とマナーを知ることから始めましょう。

関連記事:お葬式などで供える「お供え花」知っておくべきマナーのすべて

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