自分で手作りもできて人気なのが、プリザーブドフラワーやドライフラワーです。どちらも“長期保存ができる”という点では同じですが、大きな違いもあります。
手作りするには、プリザーブドフラワーはドライフラワーより手間がかかりますが、その質感や色合いは本物に近く華やかです。
ここでは、プリザーブドフラワーとはどのようなもので、どのように作るのか。また、その歴史や魅力についてもご紹介します。
プリザーブドフラワーとは? ドライフラワーとの違い
プリザーブドフラワーは、生花の美しい外観を専用の着色液を用いて長期にわたり保つことができるよう加工した花のことです。「Preserved(プリザーブド)」には英語で“「保存された」という意味があります。
長く楽しめるという点では、ドライフラワーと似ていますが、ドライフラワーが「乾燥」という手法だけで作られるのに対し、プリザーブドフラワーには「染色」という工程が加わります。
乾燥した花であるドライフラワーには独特の風合いがあり魅力となっていますが、生花のような鮮やかさを楽しめるのはプリザーブドフラワーです。
ドライフラワーは防虫などの手入れをしながら、おおよそ3ヶ月から半年ほどの間その姿を保つことができます。
一方、プリザーブドフラワーは、手入れは特に必要なく、環境さえ整えてあげれば2年から3年、長いものでは約10年もの間その美しさを楽しむことができます。
関連記事:お花を加工して楽しむ!ドライフラワーなどの作り方一覧
関連記事:ドライフラワーをインテリアに活かす!場所と飾り方で印象の違いも
プリザーブドフラワーの歴史 フランス発祥の枯れない花
今ではよく見かけるプリザーブドフラワーですが、その歴史は意外なほどに新しいものです。
プリザーブドフラワーに関する研究は、1980年代にヨーロッパで始まりました。1987年にフランスの「ヴェルモント社」が世界初のプリザーブドフラワーを発表。1991年に「長寿命の切花製法」として特許を取得しました。
1990年代後半には、クリスチャン・トルチュ氏を代表とする世界的なフラワーデザイナーらがアレンジメントに取り入れ、日本にも紹介されました。
2000年代に入ると百貨店でプリザーブドフラワー展が開催されるなど、日本でも一気に話題となり、国内産のプリザーブドフラワーも販売されるようになりました。
今や喜ばれるギフトとして、また趣味の手作りで、プリザーブドフラワーはたいへんな人気を集めています。
プリザーブドフラワーの魅力 ギフトでも人気のわけ
人気のプリザーブドフラワーですが、その魅力の第一は、水やりや掃除、防虫などの手間がかからないという点です。インテリアギフトとして、これは大きな利点になっています。
最大の特徴である、長い期間にわたり観賞できるという点もプリザーブドフラワーが支持を集めているポイントです。
その色合いの美しさを称える愛好者も少なくありません。プリザーブドフラワーは専用液を用いて人工的に染色するため、自然界にはない花の色を表現することもできます。例えば、企業のコーポレートカラーに合わせてオーダーメイドできるなど、生花にはない用途の広がりがあります。
関連記事:プリザーブドフラワーのギフト 想いを美しい色に込めて
プリザーブドフラワーを作る 準備・手順・注意点
プリザーブドフラワーは、自分で作ることもできます。一度理解してしまえば、作業はそれほど難しいわけではありません。
次項から、準備する物や、基本的な作業手順や注意点を解説します。
準備
プリザードフラワーを手作りする際、必要となる物には、素材となる「生花」、専用の「脱水・脱色剤」「保存液」「染色液」、花を扱うための「ピンセット・割り箸・ハサミ」、密閉するための「容器」があります。
花を容器内に落ち着かせるためのおもり(アルミ箔など)、作業で手を汚さないためのゴム手袋なども準備しておくとよいでしょう。
手順
(1)水切り・水やり
採取して時間が経っている花材を使う場合、一度しっかり水を吸わせておく必要があります。その作業が「水切り・水やり」です。これによって花は活力を取り戻し、保存料や染色料を十分に吸い上げることができます。
方法としては、茎の長さが2から3センチ程残るように斜めにカットし、きれいな水に30分ほど挿しておきます。この際、一般的なハサミよりも鋭利な花用のハサミでカットした方が、水を吸い上げやすくなるのでオススメです。
(2)脱水・脱色
容器にエタノールを注ぎ、花全体をしっかり浸します。
花が浮かないようにアルミ箔で作った落とし蓋をおもりとして利用すると良いでしょう。
容器は密閉したまま、数日そのままにしておきます。水分が抜け、脱色作用のあるエタノールが吸収されます。
(3)染色
グリセリン:水=2:1の混合液を作り、好きな色のインクを入れ、保存・染色液を作ります。色が濃くなりすぎることがないように、数滴ごとに様子を見ながら加えていきましょう。
脱色した花を染色液に挿し、直射日光の当たらない場所に1日ほど置きます。
(4)乾燥
好きな色に染まったら、染色液から花を引き上げ乾燥させます。
花に付着した液を優しくふき取り、型崩れしないように、トレイや水切りネットなどの上で数日かけてゆっくり乾かします。
この時、直射日光を当てないようにしましょう。
注意点
- 生花は満開ではなく、6?7分咲きの新鮮なお花が良いでしょう。花びらが大きすぎる花材は作業がしづらく、広がりすぎたものは鮮度が落ちています。
- プリザーブドフラワーは繊細です。加工中にも破損しないよう、取扱いには細心の注意が必要です。
- 脱水・脱色させる際には、色ムラができないよう、花が液に接触してない部分がないかを念入りに確認しましょう。
- 手荒れや、洋服への着色に注意しましょう。
- 乾燥過程でドライヤー等を用いる場合、破損やひび割れを防ぐために、温度や風量を調整しましょう。
関連記事:プリザーブドフラワーの作り方 基礎を覚えればとても簡単!
プリザーブドフラワーを長持ちさせる2つのポイント
プリザーブドフラワーを美しく長期間保つためには、以下の2つのポイントを押さえておきましょう。
高温多湿を避ける
プリザーブドフラワーは、高温多湿を苦手とします。
長期間美しい状態で保存するためには、温度は20℃前後、湿度は40%前後の環境で飾るようにしましょう。
湿度が高くなりすぎると、花が水分を取り込み、染色液が花びら表面に滲み出し、斑点が生じてしまいます。
多湿はまた、カビの原因にもなりますので、注意が必要です。
直射日光を避ける
プリザーブドフラワーは、直射日光を浴びると、花びらのひび割れを起こすことがあります。一度ひび割れてしまうと、元には戻せません。
また直射日光は、プリザードフラワーの退色や劣化を早めます。これも元には戻せないので、十分に注意しましょう。
プリザーブドフラワーは取扱いにも注意が必要
プリザーブドフラワーには、特別な世話が要らない利点がありますが、その取り扱いには注意が必要になります。
水やりしない
プリザーブドフラワーは湿気が大敵です。花には思わず水をやりたくなりますが、プリザードフラワーに水やりは厳禁です。
色移りに注意
プリザーブドフラワーは着色料を使用して作られていまするので、色移りの可能性があります。
例えば、カーテンなどの布類などにプリザーブドフラワーが長時間接していると染料が色移りしてしまいます。花同士が長期間接していると、薄い色のほうに濃い色が移ってしまうこともあります。
プリザーブドフラワーを置く場所は、色移りの可能性を考慮して決めましょう。
劣化したら直ぐに対応
強い紫外線が長期間当たったり、ほこりを被ったりしていると、退色、劣化が進みます。
紫外線の当たらない場所に置いたり、ほこりが舞いにくい環境にしたりするなど、直ぐに対応するようにしましょう。
まとめ
プリザーブドフラワーとは、手間がかからず、長期間生花に近い状態を保って楽しむことができる魔法のような花です。
ドライフラワーより長く楽しめ、その色合いも鮮やかです。
今回は、プリザーブドフラワーとはどのようなもので、その歴史や、長く楽しむためのポイントや注意点をご案内しました。
また、ご自宅での作り方も解説しました。用意する材料や道具はスーパーやホームセンターで用意することができるものばかりです。興味を持たれた方はぜひ手作りにも挑戦してみてください。
プリザーブドフラワーの関連商品はこちら≫ ≫
関連記事:ハーバリウムとは?みずみずしさを楽しむフラワーインテリア
関連記事:フラワーアレンジメントの作り方の基本!初心者さんならまずはここから
関連商品はこちら≫ ≫