2024/06/07

お通夜の花は誰がどう手配する?「供花」のマナーや選び方を解説

お通夜の式場には、いろんな人が届けたたくさんの花が飾られているのを目にしたことがある方も多いでしょう。
そのため、実際に自身がお通夜に出席する際、贈る必要があるのか気になる人は多いのではないでしょうか。

結論からお伝えしますと、お通夜の花の一つ「供花(きょうか・くげ)」は参列者なら誰でも贈れ、一方で必ず贈らなければならないわけでもありません。

しかし、立札を見れば、「誰から贈られたか」「誰から贈られていないか」がわかります。贈る・贈らないの判断を間違えると、遺族や参列者に不信感を与えるかもしれません。

そこで、本記事ではお通夜の花である「供花」のマナー情報を解説します。
「どんな人が贈ることが多いのか」「どんな手順で届けるのか」などを詳しく説明するので、お通夜に参列予定のある方は、ぜひお役立てください。

知っておきたいお通夜のマナー

知っておきたいお通夜のマナー

お通夜の花について考える前に、まずは基本的なマナーを知っておきましょう。
お通夜は日常的な行事ではないため、馴染みがない人は多いはずです。しかし、よく知らないまま参列すると、非常識な振る舞いに受け取られてしまう恐れもあります。

自信がない人は、先にお通夜のマナーを確認しておきましょう。

お通夜と葬儀・告別式のどちらに参列すべき?

故人が亡くなったときの儀式は「お通夜」と「葬儀・告別式」の二つです。一般的にはどちらか都合のつくほうへの参列で問題ありません。

もともとお通夜は、家族や親族、故人ととくに親しくしていた友人が集まり、最後の夜を一緒に過ごすためのものでした。また、悪い霊が入ってこないように、故人を見守るという目的もあったんですよ。

一方で葬儀・告別式は、「葬儀」と「告別式」という二つの儀式が一つにまとまったもの。
家族や親族が故人の幸せを願うための儀式が葬儀、故人とつながりがあった人が故人に別れを告げる場が告別式でした。

儀式の本来のあり方からすると、故人と親しい人はお通夜と葬儀、故人となんらかのつながりがあった人は告別式のみに参列するのがマナーです。

しかし、ライフスタイルが変化した現在では、お通夜や葬儀のマナーが見直され、葬儀と告別式は「葬儀・告別式」という一つの儀式にまとめられました。

お通夜と葬儀・告別式のどちらに参列するかは、故人とのつながりの深さではなく、参列者の都合によって決めるのが通例。実態としては、お通夜のみに参列する人が多い傾向にあります。夕方から始まるお通夜なら、参列しても会社や学校を休む必要がないためです。

どちらにも都合がつくなら、故人と親しい人は両方、故人と特別親しくない人は葬儀・告別式に参列するのが良いでしょう。
しかし、仕事で都合がつかない人も多いでしょう。そんな人は都合のつくほうへの参列で問題ありません。

お通夜の流れは?

お通夜の流れは?

お通夜の流れを紹介します。当日の大まかな流れがわかれば、お通夜が久しぶりという人も不安をかかえずに参列できますよ。

お通夜の流れは次の通りです。

  1. 式場で受け付けを済ませる
  2. スタッフからの指示に従い着席する
  3. 僧侶の読経をきく
  4. 順番が回ってきたら焼香を行う
  5. 喪主の閉会の挨拶をきく
  6. 「通夜ぶるまい」を受ける

受け付けはお通夜の30分前から始まることが多いです。余裕を持って到着して、受け付けを済ませておきましょう。

受け付け後はスタッフの指示に従い着席しますが、どの席に座るかには注意が必要です。
一般的に席はふたつに分かれており、祭壇を前にして右手側が遺族席、左手側が職場関係者や友人の席となっています。

遺族でない場合は左手側の席に座ることになりますが、左手側の席のなかでも通路側の席は目上の人が座るべきとされています。そのため、上司や立場が上の人と一緒に参列する場合は、上座に座らないようにしましょう。

焼香の順番は基本的に席順と同じです。席をしっかり決められれば、焼香のときも順番を心配せずに済みます。

「通夜ぶるまい」とは、喪家が参列者に感謝を伝えるために行うものです。30分から1時間ほどの間、軽い食事やお酒をいただくことになります。
通夜ぶるまいには、「故人との最後の食事を共にする」という意味もあります。食事をいただくのは礼儀でもあるので、基本的には参加するようにしましょう。

都合がつかない場合は、通夜ぶるまいへの参加は数分でも問題ありません。参加が難しい場合は、辞退することを丁寧に伝えてください。

お通夜の持ち物は?「香典(こうでん)」のマナーを解説

お通夜を前にして気になるのが持ち物ではないでしょうか。お通夜の持ち物には、通夜特有のものもあります。直前になって焦らないように、事前に確認しておきましょう。

お通夜の基本的な持ち物は次の通りです。

  • 香典(こうでん)
  • ふくさ
  • 数珠
  • 服装は黒のスーツや黒のワンピース

「香典(こうでん)」とは、お通夜や葬儀・告別式の当日に、参列者から遺族に贈る金品のことです。香典にまつわるさまざまなマナーを知っておきましょう。

まず、香典の相場は、次のように故人との関係によって変わります。

  • 故人が両親:50,000円から100,000円
  • 故人が兄弟:30,000円から50,000円
  • 故人が祖父母:10,000円から50,000円
  • 故人が友人や同僚、上司:5,000円から10,000円

香典の相場は渡す人の年齢によっても変わります。香典として包む金額は、参列者が20代や30代なら比較的小さく、参列者が40代なら大きくなるのが一般的です。

香典は渡し方にもマナーがあります。香典として渡すお札は「香典袋(こうでんぶくろ)」という紙製の封筒に入れておきます。
香典袋はさらに「ふくさ」という布で包むのがマナー。これは、「渡す品物や金品は大切に扱うべき」との考えから、ふくさを使う風習ができたとされています。

基本的に参列者は香典を渡すことになっています。案内所に「供物・供花辞退」と記載されているときも、香典を渡すのが一般的です。

香典を渡すのをひかえるのは、葬儀の案内に「香典辞退」と明記されている場合です。香典辞退のときは、代わりに供物や花を贈ると良いでしょう。

供物や花を別で贈る予定があれば、香典を贈らなくても失礼には当たりません。
ただし、供物や花と香典の両方を渡しても問題はありません。気持ちや故人との関係によってはどちらもお渡しすることもあります。

関連記事:お葬式にまつわる4種類の花|枕花・供花・献花・花輪を解説

お通夜に贈る「供花(きょうか)」のマナーや手配する流れを解説

お通夜に贈る「供花(きょうか)」のマナーや手配する流れを解説

お通夜の花に馴染みがない人は多いのではないでしょうか。「自分も贈ったほうが良い?」「どんな手順で準備すれば良い?」など、疑問を感じている人は多いでしょう。

そこで、花を贈る人や選び方のマナー、準備する手順を紹介します。供花について不安がある人は、参考にしてみてください。

お通夜の花は何と言う?

はじめにお通夜にまつわる花である「供花(きょうか)」と「枕花(まくらばな)」、「花輪(はなわ)」、「献花(けんか)」を紹介します。
花によって贈るべき人やマナーは異なります。まずはそれぞれの特徴を大まかにつかみましょう。

お通夜や葬儀・告別式で参列者から遺族に贈られるのは「供花」です。供花は、故人にお悔やみの気持ちを届けるだけでなく、祭壇の上や脇に飾られて式場を彩る花でもあります。
参列者なら誰でも贈れることから、花を贈るとしたら供花を贈ることになる人が多いでしょう。
「誰が供花を贈るのか」「供花はどうやって手配するか」などは、次の項目以降で紹介していきます。

「枕花」は、お通夜の前までに届けられ、故人の枕元に飾られる花です。枕花は訃報を受けてすぐに故人のもとに届けられて、式場に移動するときも一緒に運ばれます。
供花と同じように、枕花も参列者から贈られる花です。しかし、枕花を贈るのは、血縁者のように故人ととくに深い関係にあった人のみです。誰でも贈れる花ではない点は知っておきましょう。

「献花」とは、告別式で参列者一人ひとりが花を捧げる行為のことです。捧げられる花のことを献花と呼ぶこともあります。
献花は主にキリスト教の告別式で採用される儀式です。そのため、献花はなかなかイメージをつかみづらいものですが、仏教の焼香にあたるものと考えてください。
焼香と同じように、献花も参列者が一人ずつ行います。献花が故人との最後の別れを告げるための儀式である点も焼香と同じです。
献花をおこなう葬儀に参列するなら、事前に献花の手順を確認しておきましょう。
また、献花用の花は遺族が用意するものなので、持参すべきでない点にもご注意ください。

「花輪」とは、花を輪の形に並べたスタンド式のものです。サイズが1メートルから3メートルの花輪は式場外部に飾られます。
花輪には開店や開業を祝う慶事用もありますが、お通夜や葬儀ではお悔やみの気持ちを表すお供え用が使われます。赤や黄色などの明るい色ではなく、白や青などの落ち着いた色を使うのがお供え用の花輪の特徴です。

花輪を贈るのは、故人と関係が深い団体です。たとえば、故人が所属していた会社から花輪が贈られることがあります。宗派や地域による違いもありますが、現在は花輪の受け取りを遺族が辞退していることも少なくありません。花輪を置くスペースの確保が難しいためです。
花輪を届けられない場合は、代わりに供花を贈ると良いでしょう。

参列者が贈る花が「供花」、とくに親しかった参列者が贈る花が「枕花」、キリスト教の葬儀で行う別れの儀式が「献花」、故人と関係のあった団体が贈るものが「花輪」です。

4つの花のなかで参列者なら誰でも贈れるのが供花です。花を贈るか検討している人は、供花についてさらに深く知っていきましょう。

お通夜に供花を贈るのはどんな人?贈ってはいけない人もいる?

お通夜に供花を贈るのはどんな人?贈ってはいけない人もいる?

前項でお伝えした通り、参列者なら誰でも贈れる花が供花です。お悔やみの気持ちを伝えたいという人は供花を届けてみましょう。

「自分も贈らないと失礼?」と感じている人もいるかもしれませんが、絶対に供花を贈らないといけない人はいません。ただし、故人と次の関係がある人は供花を贈る傾向にあります。

  • 喪主
  • 兄弟
  • その他の親族
  • 仕事で深いつながりがある人や会社
  • とくに仲の良かった友人

供花は個人から出すこともあれば、複数人から1つ出すことも少なくありません。たとえば、会社の同僚で1つの花を届けることや、大学の友人で1つの花を用意することがあります。
花を贈るか迷っている人は、周囲の参列者に相談してみてください。

気持ちがあればどの参列者でも供花を出せることをお伝えしましたが、供花を贈れないケースもあります。供花を贈れないのは、遺族が受け取りを辞退しているときです。

葬儀の案内状に供花辞退の旨が記載されていれば、供花は贈らないようにします。辞退していたのに供花を届けてしまうと、遺族に迷惑をかけてしまいます。
案内状に供花について記載がない場合も、念のため担当の葬儀社に供花を贈って良いか確認しておくほうが良いでしょう。

お通夜の供花はどこに頼む?手配する手順も紹介

お通夜に贈る供花の手配方法はふたつあります。葬儀社に依頼する方法と、花屋で買った供花を届ける方法です。

葬儀社に依頼する場合の手順は次の通りです。

  1. 遺族が供花を辞退していないかを確認する
  2. 供花を贈りたい旨を伝える
  3. 故人との関係や名前を伝える

葬儀社に依頼すれば、手軽に花を届けられます。供花を贈りたいと伝えれば、葬儀社側で会場に合う花が適切なタイミングに届くよう手配してくれます。

花屋で買った供花を届ける手順は次の通りです。

  1. 遺族が供花を辞退していないかを確認する
  2. 他の花屋の供花を持ち込めるかを確認する
  3. 注文したい花屋に供花を買いたい旨を伝える
  4. 故人との関係や名前を伝える
  5. いつどこに花を届けてほしいかを伝える

「大切な個人に贈る花はこだわって選びたい」という人は、他の花屋の供花を届けられないかを葬儀社に確認してみましょう。

供花の相場は?

供花の相場は?

お通夜の供花の予算相場は、1つ7,000円から15,000円の価格です。
故人との関係が深い場合は、相場よりも高いものを用意する傾向にありますが、基本的には相場のものを贈りましょう。

相場より安すぎるものは、他の供花と一緒に並べたときに寂しい印象を与えます。逆に相場より高すぎれば、遺族に気を遣わせてしまうでしょう。
贈られた供花の金額に応じてお返しの品を用意する遺族もいます。高価な供花は、金銭的にも遺族に負担をかけてしまいます。

どれにするか迷った場合は葬儀社に相談してみると良いでしょう。

供花はいつまでに贈る必要がある?間に合わない場合はどうする?

会場に飾る供花は、お通夜が始まる前に葬儀会場に届ける必要があります。
供花はお通夜の日の午前中までに届くよう手配してください。

しかし、お通夜は急に決まるものなので、手配が間に合わないこともあるでしょう。

そんな場合は、告別式までに届くよう手配をすれば大丈夫。供花はお通夜だけでなく告別式でも飾られますので、告別式までに届けられれば、ご遺族や故人様に気持ちを伝えられるでしょう。
告別式は午前中に開始されるのが一般的です。告別式に間に合わせるなら、前日中に届ける必要がある点には注意してください。

告別式に間に合わせるのも難しいなら、式後に故人の自宅に届けます。通常供花は式中に飾るものですが、「四十九日(しじゅうくにち)」の法要までは自宅に届けても問題ありません。
届けるときには、故人の冥福をお祈りする旨や都合があって式に間に合わなかった旨を伝えるとより丁寧です。

故人へのお悔やみの気持ちを伝えるなら、葬儀後の法要に合わせて花を贈るのも良いでしょう。
葬儀後の代表的な法要は、命日から7日目の「初七日(しょなのか)」と、命日から49日目の「四十九日」、命日から1年の「一周忌」。
どの法要の花かによって贈る花の特徴は変わりますが、いずれも一般的な生花店に相談すればスムーズに準備できます。
お通夜や葬儀の前後は忙しい人は、葬儀後の法要時の花を贈ってみてください。

供花の立札の書き方は?

供花の立札の書き方は?

立札とは、贈り主の名前や肩書きが書かれた木の札です。立札は贈り主がわかるように供花につけられます。
立札の書き方にはルールがあります。正しい書き方を知って、スムーズに供花の手配を進められるようになりましょう。

立札の書き方は、次のように贈り主によって変わります。

個人から贈る場合 氏名(フルネーム)のみ
夫婦から贈る場合 夫の名前のみ
会社の代表者から贈る場合 会社名と代表者の役職、代表者の氏名
会社の部署から贈る場合 会社名と部署名
会社の部署の一部メンバーから贈る場合 会社名と部署名、「有志一同」
団体で贈る場合 「友人一同」や「親族一同」、「兄弟一同」のように記載
連名で贈る場合 氏名を右から左に並べて記載(立場が上の人がいれば、名前が右側にくるように配置)

立札の書き方に困ったら、葬儀社や利用する花屋に相談してみると良いでしょう。

お通夜にふさわしい花の選び方

前項で「供花(きょうか)」を贈る大まかな流れを解説しましたが、供花を自分で購入する場合、どんなものを選ぶべきか悩む人は多いです。
そこで、お通夜にふさわしい花の特徴を紹介します。

供花を選ぶときに着目したいのは、「花の形式」と「花の色」です。

花の形式は、花が花瓶やかごに入っている「アレンジメント」や、足のある台の上に花が飾られた「スタンド式」です。
アレンジメントやスタンド式の花は届いてすぐに飾れるので、遺族や式場スタッフの負担になりません。

花の色は白を基調としたものにしましょう。派手な色よりも落ち着いた色のほうが供花にふさわしいと考えられています。
鮮やか過ぎる色は避けるべきですが、淡いピンクや淡い青、淡い紫の花をサブとして入れるのは好まれます。故人が好きだった色や故人のイメージに合わせてサブの色を選んでみてください。

お通夜のお花で最後の門出を。

ここまでお通夜にふさわしい花の選び方を解説してきましたが、お通夜の花は購入するお店選びも重要です。
「しっかり選んだ花を贈りたい!」とふさわしい花を注文しても、花の品質が悪ければ、後悔してしまうでしょう。

お通夜の花である「供花(きょうか)」は参列者なら誰でも贈れる花です。お悔やみの気持ちを伝えたい人は、ぜひ贈ってみてください。

お通夜に供花を贈るか悩んでいる人は、お通夜に出席する周囲の人に聞いてみましょう。供花は会社の同僚や友人と一緒に出すこともできますよ。

関連記事:お供え花として贈りたいアレンジメントの選び方をシーン別に解説

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