2024/06/19

ひな祭りの代名詞「桃の花」はどんな花?長寿の象徴で縁起がよい

ひな祭りの歌には「お花をあげましょ、桃の花」という歌詞があります。なぜ桃の花を飾るのでしょうか。ひな祭りに桃の花を飾る由来を探ってみると、意外な過去が分かります。

桃の花はかわいらしさや美しさの他にも、ひな祭りにふさわしい理由があるんです。
その歴史ははるか昔までさかのぼり、馴染みのある文化が、実は興味深い由来を持っていることに気づくでしょう。
ひな祭りに桃の花を飾るようになった由来や、桃の花の種類を知ることで、ひな祭りがよりめでたい日に感じられるはず。ひな祭りが桃の節句と呼ばれることも、納得するはずです。

そこで、この記事ではひな祭りと桃の花の関係、その由来と種類・見分け方について紹介します。まずは、なぜひな祭りに桃の花を飾るのか、その由来や歴史について、みていきましょう。

ひな祭りで飾る「桃の花」は中国が原産地

ひな祭りで飾る「桃の花」は中国が原産地

桃の花の原産地は中国です。中国では桃の花が2500年ほど前から栽培されています。日本には弥生時代より前に伝わってきました。

桃の花の開花時期は、3?4月ごろです。冬から春にかけて梅が咲いた後、桃の花の季節がやってきます。

花の色は、赤・白・ピンク。木の高さは1?7メートルに生長し、春に花を咲かせたあと、夏に甘い実をつけます。その美しい花には、愛らしい花言葉があるのです。

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桃の花の花言葉は「気立てのよさ」や「恋のとりこ」

桃の花の花言葉は「気立てのよさ」や「恋のとりこ」

桃の花は、華やかで可憐です。桃の花が持つ魅力から、人を引き付ける花言葉があるんです。例えば、「気立ての良さ」「あなたの虜です」「チャーミング」。
それ以外にも、「天下無敵」という力強い花言葉があることも特徴です。

桃の花は赤・白・ピンクがあるものの、色別に明確な花言葉はありません。

桃は3月頃の初春に花が咲きます。淡いピンク色の花は、優しい春の季節を感じさせるでしょう。そして夏になると果実になり、豊かな甘みで人を喜ばせます。

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桃の実の花言葉「天下無敵」はひな祭りにも関係する

桃の実の花言葉「天下無敵」はひな祭りにも関係する

ひな祭りの起源は諸説ありますが、厄払いが始まりといわれています。桃の実の花言葉「天下無敵」も、無病息災を祈るひな祭りに関係するのです。

中国には、旧暦3月の最初に来る巳の日「上巳の節句」に関して次のような物語が伝わっています。

「漢の時代に、3人の娘をもうけた男性がいました。しかし3人とも生後3日以内に亡くなってしまいました。男性が悲しむ姿を見た村人たちは、3人の娘の亡骸を酒で清め、遺体を川や海に流したのです。」

この物語にも象徴されるように、当時の中国では、上巳の時期は季節の変わり目なので邪気が入りやすいと考えられていました。
こういった節句の「穢れ」を清めるために亡骸を川などに流した逸話が、「人形を川や海に流す」という文化に転じ、それが現代のひな人形の由来になったのだとか。

桃の花に関しても、桃は穢れを祓う力があると考えられていたことから、ひな祭りで飾られるようになったのです。
桃に聖なる力があると考える文化は日本にも根強く残っており、例えば「古事記」ではイザナギノミコトが黄泉の国の邪鬼から逃れるために桃を投げたという逸話があります。また、桃から生まれた男の子が鬼を退治する「桃太郎」は、桃をモチーフにしたおとぎ話としてもっとも有名でしょう。

このように、ひな祭りと魔除け、そして「桃の節句」という言葉はそれぞれが関わり合っているのです。

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ひな祭りが「桃の節句」と呼ばれる理由は?春の訪れに咲く花

ひな祭りが「桃の節句」と呼ばれる理由は?春の訪れに咲く花

以上のような理由の他、桃の花が春の訪れと共に咲くこともあり、上巳の日を「桃の節句」と呼ぶようになりました。そして桃の節句には桃の花を飾り、女の子の健やかな成長を祈るようになったのです。

桃は中国で古来から「仙桃」と呼ばれ仙人の力、不老長寿の効能があるとされ吉祥の象徴でした。

なぜ不老長寿の効果があると考えられているかというと、中国古代の物語の「西遊記」に由来します。
西遊記の物語の冒頭で、孫悟空が仏から罰を下されて、岩山に閉じ込目られているシーンをご存じの方も多いでしょう。彼が罰を受けていた理由は、不老長寿の桃が生る果実園に勝手に入り、桃を食べ荒らしたからなのです。

このように中国では、桃が長生きや強さの象徴とされてきたのですね。
ただ一括りに桃といっても、花の桃と食べる桃の両方が浮かぶかもしれません。それぞれの違いはなんであるのでしょうか?

桃の花の品種には観賞用の「花桃」と食用の「実桃」がある

桃の花の品種には観賞用の「花桃」と食用の「実桃」がある

桃の花は観賞用の「花桃」と、食用の「実桃」に分けられます。

ひな祭りに飾られるのは、観賞用の「花桃」です。花桃は種類により異なる美しさがあります。以下に花桃の種類を紹介します。

【観賞用の花桃】

〇矢口
矢口は、ひな祭りで一般的に飾られる花桃です。はっきりとしたピンク色で、切り枝としても用いられます。

〇源平
源平は、赤・白・ピンクという3色の花が咲く花桃の品種です。年によって色の割合が異なるのが特徴。この名前は、紅白の花が競って咲く様子が源平の合戦にたとえられ、付けられました。

〇関白・寒白(かんぱく)
関白は、白い花が咲く花桃の品種で、中輪で八重咲きの花桃です。白花の花桃の代表的な品種で、純白の花は透明感があります。
桃の花の中では早咲きで、開花時期は2月下旬ごろです。

〇菊桃
菊桃は花びらが菊のように細長く、放射状に咲く八重咲きの花桃です。濃いピンク色の中輪品種で、鮮やかな花色が目を引く美しさです。

このように桃には数多い種類があるものの、中には桜や梅と見分けがつかないと悩む方もいるかもしれません。以下では桃・桜・梅を、見分けるポイントについてご紹介します。

桃の花と桜・梅を見分けるなら「花びら」に注目

桃の花と桜・梅を見分けるなら「花びら」に注目

桃の花と桜・梅を見分けるポイントは、3つあります。

花びらの形 花の付き方 つぼみの形
先端がとがる 1節に2花
花枝が短い
名丸みを帯びる
先端が切れている 1節に多花
花枝が長い
細長い
先端が丸い 1節に1花
花枝がない
丸い

この中で一番わかりやすい違いは、「花びらの形」です。先端のとがっているのが桃の花です。
丸みを帯びていれば、梅の花。花びらの先端が切れていれば桜の花です。
桃・梅・桜はどれもバラ科で、ピンク色の花を咲かせます。いずれも3?4月が見ごろなので、花びらで見分けると分かりやすいでしょう。

まとめ

桃の花は、ひな祭りの代名詞としてふさわしい花です。魅力的な花の様子と古代の言い伝えから、耐えることのない命の強さを意味しています。

桃の花は、梅や桜と同じころに咲きますが花びらをよく見ることで見分けられます。花びらの先端がとがっているものは、桃の花です。桃の花の中には様々な種類があり、各々が異なる美しさを持っています。

桃の花は天下無敵の美しさがあるからこそ、ひな祭りにふさわしい花といえます。ひな祭りは好みの桃の花を飾って、女の子の健やかな成長を願いましょう。

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