2023/04/01

ひまわりの育て方|植えつけ・水やりから収穫まで

晴れた空を背景に、太陽に向かい合う大きな黄色い花。
ひまわりは、まさに夏のシンボルにふさわしい、生命力に満ちた花です。

古くから人との関わりも深い花であり、フラワーギフトでも人気の、見て楽しむ花というイメージが強いですが、実は庭植えでもプランターでも簡単に育てることができるので、 楽しみ方の多い花でもあります。

このページでは、ひまわりの栽培は初心者という方にも分かりやすく、育成環境や種まき、苗植え、水やり、肥料、病害虫など押さえておきたいポイントごとに、初心者にもやさしいひまわりの育て方をご案内します。

ひまわりは人とともに歩み、
生活に溶け込んできた

ひまわりは、漢字では「向日葵(ヒマワリ)」と書きます。
英語では「Sunflower(サンフラワー)」というように、洋の東西を問わず、太陽を向いて大きな花を開くその姿が人に強い印象を刻んできた花です。

ひまわりはキク科の一年草で、原産地は北アメリカ北西部です。
アメリカの先住民はひまわりを食用に用いていましたが、種が持ち込まれたヨーロッパでは観賞用の花として広まりました。
その後、アフリカやオーストラリアにも伝播し、種から油を採取する作物として広く栽培されました。

日本には江戸時代、観賞用として渡来し、明治以後は飼料などにも活用されました。
現在でも、見る、食べるの両面で、ひまわりは世界中の人々の生活に深く溶け込んでいます。

実は多彩な品種がある!
ひまわりという花の特徴

ひまわりというと、黄色い花のイメージが強いですが、品種によっては白や紫、オレンジ色などの花を咲かせます。
また、大輪の花と草丈も3メートルを超えるような背の高さがひまわりの特徴ですが、現在では比較的小さな花をつけるものや八重咲のもの、丈も30センチ程度の小さなものなど、 園芸市場にはさまざまな品種が出回っています。

その花は、「舌状花(ぜつじょうか)」と呼ばれる外側と「筒状花(とうじょうか)」と呼ばれる内側の小さな花が集合した形をしており、中心部にめしべとおしべがある両性花です。

花が咲くのは、毎年7月から9月にかけての夏の季節です。

ひまわりは、育てて楽しむ花としてたいへん人気があります。
まずは、ひまわりの栽培にふさわしい環境について確認しておきましょう。

関連記事:育てて、観て、贈って楽しい ミニひまわり

ひまわりの育て方
�@ふさわしい育成環境

ひまわりは、日当たりの良い場所に地植えで育てるのが原則です。
日陰では、ひまわりらしい力強い成長は望めませんし、病害虫の心配も高くなります。

鉢植えやプランターでの栽培も可能ですが、やはり日当たりには留意しましょう。

土壌は、水はけがよく、腐植質に富んだものが最適です。
草花用の培養土や牛ふん堆肥、赤玉土と腐葉土の混合土などを用意しましょう。

耐寒性は強くありません。
日本の場合、一般的に冬場の育成には向かない植物です。

生育環境が整ったら、種をまきましょう。

ひまわりの育て方
�A種まき

種まきは、4月から6月にかけて行います。

庭に直植えの場合、種を植える間隔は品種によって違ってきます。
大型の品種なら30から40センチ程度、中・小型の品種なら20センチ程度と覚えておくと目安になるでしょう。
株間が決まったら、2から3粒ずつの単位でまきます。

育苗ポットに種まきをし、苗を育てる方法も一般的です。
水はけを良くするためポットに底石を入れ、園芸用土を使います。

ひまわりの種は光を嫌うので、しっかりと土をかぶせます。

乾燥が過ぎると芽が出ないので発芽まで水やりを続けますが、やりすぎると種が腐ってしまうことがあるので注意が必要です。

発芽したら、元気の良い株を残して間引きします。

ひまわりの育て方
�B苗の植えつけ

育苗ポットで種から育てた苗や、購入した苗を花壇や鉢・プランターなどに植えつけます。

苗を植えつけるときは、根を傷つけないことに細心の注意を払ってください。
ひまわりの根は地中で枝分かれしない直根性という性質を持っています。
直根性の根は傷みによるダメージに弱く、傷がつくと根つきが悪くなってしまいます。

植え替えるときは、根をほぐさずに土がついたまま埋めるのがポイントです。
移植はそのたびに根にダメージを与えますので、何度も植え替えることは避けましょう。

鉢やプランターは本来小型の品種向きです。
大型の品種を育てる場合は、できるだけ容量が大きな器を用意しましょう。

ひまわりの育て方
�C水やり

土を乾燥させないこと、ただし過度の湿り気には弱いので水のあげ過ぎに注意するのが、ひまわりの水やりの基本です。

種まき後や苗の植え付け後はたっぷりと水を与えますが、根が定着し、成長が進むにつれ水やりを減らして行きます。
日頃は、土の表面が乾いてきたら水をやります。
庭植えに比べ、鉢植えやプランターは土が乾きやすいので、底から流れ出るまで水をあげてかまいませんが、湿った状態が長く続くと根腐れを起こしやすいので、やり過ぎは禁物です。

気温が高い7月から9月にかけては土が乾燥しやすく、また花を開くためにひまわり自身が水を多く吸うので、朝夕に水あげの回数を増やすなど工夫しましょう。

ひまわりの育て方
�D肥料

苗の植えつけの際、用土に緩効性の固形肥料などを混ぜて元肥とします。
ただし多過ぎたり、根に直接触れると、肥料焼けを起こすことがありますので注意しましょう。
購入した肥料の用法用量をよく確認しておきましょう。

その後は開花まで、鉢植えやプランターなら2週間に1度、地植えなら月に1度程度を目安に速効性の液体肥料などを追肥します。
この場合も適量を守りましょう。

窒素の多い肥料(葉肥え)は葉や茎の成長を促進します。
花の時期が近づいてきたらリン酸の多い肥料(花肥え)に切り替えると、花をつけやすくなります。

ひまわりの育て方
�E害虫と病気

ひまわりの育成には、害虫の被害も心配されます。

アブラムシは新芽や葉や茎にとりつき、繁殖力が旺盛です。
ナメクジも新芽を好みます。
特に地植えで、日当たりが良くない環境では注意しましょう。
ハダニは高温で乾燥した環境下で葉の裏に寄生します。

他にも、ネキリムシ、アオムシ、ヨトウムシなどがひまわりの害虫として知られています。
いずれも見つけしだい、殺虫剤などで駆除しましょう。

ひまわりの病気では、葉に黄緑色の病斑がまだらに現われる「べと病」がよく知られています。

「べと病」は湿度が高い梅雨時に発病しやすい感染症で、放っておくと枯れてしまいます。
対策としては、株元にマルチングをして感染を予防し、発病した場合は風通しや水はけを改善、殺菌剤などで対処します。

ひまわりの育て方
�Fさらに3つのポイント

さらに3点、ひまわりの育成を楽しむポイントをあげておきます。

梅雨時の対策

ひまわりは過度の湿気を嫌うため、梅雨時の育成がいちばん難しいともいわれています。
鉢植えやプランターは梅雨の時期、雨にあたらず風通しの良い場所に移動させます。
地植えは、できるだけ排水性の高い土壌を選んでおきます。

たくさんの花を咲かせる「摘心」

小型の品種は、本葉が5?6枚になったところで一番上の芽を切り取る、「摘心」の作業によって、花の数を増やすことができます。
摘心をすると脇芽が分岐し、やがて花になります。
花の一つ一つは小さくなります。

種を収穫する

花が終わった後、刈り取らずに水やりを続けるとやがて種が実ります。
花の中心部が黒く固くなったら、花を茎から切り離し、天日干しで乾燥させます。
カビの発生に注意し、涼しい場所で密閉容器などで保管し、次の春に種をまきましょう。

なお、F1種(一代交配、一代雑種)の種は次の種まきには向きません。
覚えておきましょう。

関連記事:ひまわりを種まきから楽しむ!失敗しないポイントを解説

まとめ

日差しをあびて凛と立つ姿が勇気を与えてくれる夏の花「ひまわり」。
その育て方についてご紹介しました。

ひまわりは世界中で愛され、食の面でも人類に貢献してきた花です。

土壌や湿度などの環境に配慮すれば、ひまわりは比較的簡単に育てることができ、実際に育成を手がけている人もたいへん多い花です。

今では鉢やプランターで育てやすい「ミニひまわり」と呼ばれるような品種もあり、 私たちとひまわりの距離は一層近くなっています。

ガーデニングは初心者という方もこの記事を参考に、ぜひ一度、ひまわりの育成を楽しんでみてください。

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