ゴッホやモネも愛したひまわりの花。
夏の太陽に対峙して凛と咲く姿には勇気づけられます。
ひまわりはキク科の一年草で、英語では「Sunflower(サンフラワー)」といいます。
漢字では「向日葵(ヒマワリ)」と書き、俳句では夏の季語になっている、まさに太陽とともにある花です。
育てるのは比較的簡単で、初めてガーデニングに挑戦してみたいという方にもおすすめです。
品種によって違いもありますが、この記事では種まきから始める最も一般的なひまわりの育て方を、種まきや苗の植えつけ、水やりや開花までの注意点などのポイントごとに
詳しく解説します。
ひまわり栽培の一年。
種まきから収穫まで
まずは、種まきから収穫まで、ひまわり栽培の一年を見ておきましょう。
ひまわりは、気温が20℃から30℃ほどで発芽しますので、種まきは、日本では4月から6月にかけてが適しています。
東北・北海道などの寒冷地では5月以降が適期です。
葉桜の出る頃が目安となるでしょう。
苗を植えるのは、5月中旬からとなります。
梅雨時は、土の湿りに気をつかいましょう。
ひまわりは、土の乾燥を嫌う一方、過度の湿り気にもたいへん弱い性質がありますので、
雨が続く時期は鉢やプランターを移動させるなどの対応が必要となります。
7月から9月にかけてが開花の時期です。
大きな品種なら草丈は2メートル以上、太陽に向けて大輪の黄色い花を開きます。
9月も半ばになれば、花は終わり、葉も枯れてきますが、刈らずにそのまま水やりを続けましょう。
1カ月か1カ月半程で種を取ることができます。
ひまわりの種は食用にもなりますが、乾燥した涼しい場所に保管すれば、翌春にまた種まきを楽しめます。
では、ひまわりを種まきから楽しむポイントを確認しておきましょう。
関連記事:ひまわりの育て方|植えつけ・水やりから収穫まで
育てるひまわりの品種と
種まきの場所を決める
背の高い黄色の大輪の花。
それがひまわりの典型的なイメージですが、実はひまわりには咲き姿もさまざまな数多くの品種があります。
高さなら、鉢植えで30センチ程度の、「ミニひまわり」と呼ばれるようなコンパクトなサイズの品種から、大地に3メートルを超えて雄々しく立つものまで。
花の色なら、黄色の他にも白、茶色、赤、オレンジ、紫など多彩です。
近年は、八重咲きのひまわりも人気があります。
種から育てられる品種もたくさんあります。
種苗店や園芸ショップ、ホームセンターで、どんなひまわりを育ててみようかと、あれこれ悩むのも楽しいものです。
ただしパッケージに「F1種(一代交配、一代雑種)」と表示されている場合は、できた種を次の種まきに使うことはできません。
種まき用の採種を考えている場合には注意が必要です。
育てる品種が決まったら、それに応じて種や苗を植える場所を決めましょう。
小型のひまわりなら鉢植えやプランターでも問題ありませんが、大型のひまわりは深く根を伸ばせる庭地に地植するのが原則です。
ひまわりの種まきは、
水はけと日当たりのよい場所に
ひまわりは移植を嫌います。
なぜなら、ひまわりは根が地中で枝分かれせずに下に伸びる「直根性」の植物で、その特徴は根が傷に弱いことです。
移植によって根にダメージを与えるリスクを避けるため、ひまわりの育成にはできるだけ植え替えを行わないことが望まれます。
頻繁な移植を避けるため、ひまわりの種は直まきがベターとされています。
そのためには、移植せずに育成を続けられる土選びが重要になります。
ひまわりの種まきに最も望まれるのは、水はけのよい土です。
湿気の溜まりやすい場所は、ひまわりを容易に腐らせやすくてしまいます。
また、種まきは日当たりと風通しのよい場所を選びましょう。
ひまわりは日光に多くあたるほど成長が促進され、大きな花をつけることができます。
日陰では、病害虫の被害にあうリスクが高くなることも憶えておきましょう。
土壌は腐植性の高い環境が望まれますので、園芸用の培養土や堆肥、腐葉土、緩効性肥料などを混ぜ込んでおきます。
品種によっても適性がありますので、どのような対応が適切か事前に調べておきましょう。
鉢やプランター、育苗ポットに種をまく場合は、水はけを確保するため底石を敷いておきましょう。
ひまわりの種まきの手順。
発芽までの注意点
まずは種を植える間隔を決めます。
庭地に直まきする場合、大きく育つ品種なら30センチから40センチ、小さめの品種なら20センチ程度が標準です。
プランターでは、中・小型品種の育成が主体となります。
種うえの間隔も品種によって調整してください。
目安は20センチ程度です。
鉢や育苗ポットなら中央に、庭やプランターなら決めた間隔に合わせ、深さ1センチから2センチ程の植え穴をつくります。
1つの穴に、2〜3粒の種をまきます。
種と種の間は少しあけ、種同士が触れないようにしておきます。
まいた種の上には、1センチ程度土をかぶせます。
ひまわりの種には嫌光性があり、光があたっていると発芽しずらいので、日光が漏れ込まないように手で軽く押さえ、土と種を密着させておくとよいでしょう。
種まき後は、たっぷりと水をあげてください。
その後、1〜2週間ほどで発芽します。
本葉が開きはじめたら、状態のよい株を1本だけ残して間引きします。
間引きをためらう方もおられますが、残された株にその後の成長のスペースを与え、養分を集中させるために必要な作業です。
種から育てたひまわりの苗を
植えつけるには
育苗ポットなどで育てた苗や、園芸店などで購入した苗を、庭や鉢・プランターなどに植えつけることもできます。
ただしひまわりは移植に弱いので、最初で最後の植え替え(定植)と心得ましょう。
苗を植える間隔は、直まきで種から育てる場合と同じで、大型品種なら30センチから40センチ、小型品種なら20センチ程度が目安です。
移植先の土の状態を確認し、必要に応じて腐葉土や緩効性肥料を足しておきます。
移植の際、最も注意すべきは、ひまわりの根を傷つけないことです。
ポットから出すときも根を傷をつけないようにできるだけ優しく取り扱います。
根をほぐして土を落とすのは厳禁です。
元々ついている土をそのまま活かして定植します。
移植後は、十分に水を与え、土が乾燥しない程度に毎日水やりをします。
背の高いひまわりを育てる場合は、支柱を立てておくとよいでしょう。
種まきから育てたひまわりが
花を開くまで
開花に向けては、土が乾いてきたらこまめに水をやることを心がけましょう。
ただし、水のやりすぎは厳禁です。
梅雨時の管理にも気を配りましょう。
開花期の7月から9月にかけては気温も高く、土も乾燥しがちなので、朝と夕の2度水やりをするなど回数を増やします。
肥料は開花までに、庭土なら1カ月に1度程、鉢やプランターなら2週間に1度程のペースで、速効性の液体肥料などを追肥します。
ひまわりは、アブラムシ、ナメクジ、アオムシ、ネキリムシ、ヨトウムシなどの害虫の被害も心配です。
基本的な対策は、日当たりのよい場所で育てることと、見つけたらすぐに駆除することです。
殺虫剤は園芸店などに相談し、適切なものを使いましょう。
またひまわりには、梅雨時に発病しやすい「べと病」という病気も天敵です。
葉に黄緑色のまだらが現われる感染症で、そのままにしておくとひまわりを枯らしてしまいます。
水はけのよい土で育てることが根本的な対策です。
株元をビニールなどで覆う「マルチング」を施しておくと感染の予防になります。
発病した場合は、水はけや日照、風通しなど環境を見直しましょう。
成長したひまわりは太陽に向かって堂々たる花を開きます。
これには、オーキシンという成長ホルモンが関わっています。
オーキシンは日光が当たらない側の茎の成長を促進するため、茎は屈むように曲がり、結果として花は太陽の方向を向くというわけです。
ひまわりの花はガーデニングだけでなく、切り花として花束やアレンジメントの花材としてもたいへん人気があります。
近年はプレゼントに最適なミニひまわりやカラフルな品種も多いため、フラワーギフトでの楽しみ方も広がっています。
まとめ
種まきから始めるひまわり栽培の楽しみ方をご紹介しました。
成功のカギは、水はけ、日当たり、風通しのよい場所の確保と、土の湿り気の管理です。
できるだけ移植をしない育成プランを立てるなど、根にダメージを与えない工夫もポイントです。
それさえ押さえれば、種まきから元気な花を咲かせ、次のシーズンにまく種を収穫することまで、初心者にも難しくはないでしょう。
初めてのガーデニングという方も、ぜひこの機会に、ひまわりの栽培に種まきから挑戦してみてはいかがでしょうか。
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