2023/04/01

桃の節句になぜ桃を飾るの?意外な効果と桃の節句の祝い方について解説

日本では、古くから伝わり今も大切にされている年中行事が、いくつかあります。
冬の終わりと春の始まり、季節の変わり目で暮らしを華やかにする行事のひとつが、桃の節句です。
ひな人形を飾ることでよく知られています。
ひな人形の飾りにも用いられる桃の花は、ひな祭りのシンボルといっても過言ではありません。
かわいらしいピンク色の花が、ひな祭りをより華やかにします。
地域によって細かな違いもあるようですが、桃の節句では一般的にひし餅を飾り、ちらし寿司やひなあられを食べるのが慣習です。
しかし、なぜ3月3日を桃の節句と呼ぶのでしょうか?
数ある植物の中でも、なぜ桃が用いられるようになったのでしょうか?

本記事では、桃の節句の意味や由来、あわせて食べ物やひな人形に込められた意味についてご紹介します。

桃の節句にはなぜ桃を飾る?
厄除け・魔除けの効果

毎年、3月の行事としてひな人形を飾り、ひなあられやちらし寿司を食べてお祝いするのが桃の節句です。
桃の節句の由来や、なぜ桃の花が選ばれたのかという意味を知ると、大切な行事であることが分かりますよ。
実は、古くから桃の花には、厄除けや魔除けの効果があるといわれているのです。

桃の節句とは

桃の節句は、桃が魔除けや厄除けの力をもつ植物であることから、子どもに降りかかる災いを退け、健康で幸せに育つようにという思いが込められています。
桃の節句は、もともと「上巳(じょうし、じょうみ)の節句」と呼ばれ、旧暦3月の最初の巳(み)の日に行われるものでした。
日本の伝統行事「五節句」の1つでもあります。

<五節句>

  • 1月7日の七草
  • 3月3日の桃の節句
  • 5月5日の端午の節句
  • 7月7日の七夕
  • 9月9日の重陽

古代中国では、旧暦で奇数が重なる日にお祓いやお供えをする風習があり、日本にも伝えられ現在の形へ変化しています。
日本では平安時代の頃、年中行事として祝うようになり、江戸時代になって江戸幕府が桃の花が開花シーズンを迎える3月3日を桃の節句と制定しました。
現在では桃の節句が女の子、端午の節句が男の子の行事と認識されていますが、昔は男女の区別はなかったようです。
江戸幕府が五節句を制定するにあたり、華やかで優雅な桃の節句を女の子のお祭り、兜を飾り菖蒲を尚武にかけた端午の節句を男の子のお祭りとする流れが生まれました。

桃の節句の意味は?起源から祝い方までわかりやすく解説!

桃の花について知ろう!

名前のとおり、桃の節句には桃の花が欠かせません。
中国では古来より、桃の木が不老長寿をつかさどり、厄災や病魔をよせつけない邪気払いの力をもつ木として重宝されています。
縁起がいいとされる植物の1つであり、節分では、桃の樹から作られた弓で邪鬼を退ける儀式も行われてきました。
また、桃という漢字は「木と兆」で構成されていることから、多産や子孫繁栄をつかさどる植物といういわれもあります。
桃の花は、家族に繁栄をもたらす縁起のよい花です。
そんな桃の花の、花言葉は以下の4つです。

  • 愛らしい
  • 気立てが良い
  • あなたのとりこ
  • 天下無敵

雛人形を飾る桃の節句にぴったりですが、「天下無敵」だけは方向性が違うことが気になります。
桃の花につけられた天下無敵という花言葉は、童話「「桃太郎」の中で、主人公の桃太郎が鬼退治の際に、鬼へ桃を投げて退けたというエピソードが由来だといわれています。

桃の節句に桃を飾る理由

桃の花は、女性の愛らしさや秘められた強さ、子孫繁栄など縁起のよい植物であることから、桃の節句に飾られるようになりました。
長寿を司り、厄除けや魔除けなど邪気払いの木であることも、桃を飾る理由の1つです。
桃は2000年以上前から中国大陸で栽培されており、歴史を記した書物や、桃が人々を救うシーンが含まれた伝説も多く、生命力を象徴することも理由に含まれます。
また、桃の節句がスタートした旧暦の3月3日は、現在の3月上旬〜4月ごろを指します。
桃の花が開花を迎えるベストシーズンであることからも、もとは上巳の節句と呼ばれていた行事が、桃の節句と呼ばれるようになりました。

桃の節句の祝い方は?
食べ物とひな人形で盛大に祝おう

桃の節句には、ひな人形を飾って特定のものを食べる風習があります。
ここでは、ひな人形や料理に込められた意味と由来を解説するので、参考にしてみてくださいね。


ひな人形


女の子がいる家庭では、ひな人形を飾ります。
これは厄払いや邪気払いの一環です。
人形に穢れや厄災を身代わりしてもらうもので、人形やお雛さまに移った穢れや厄災は川に流されるといわれています。
厄払いの意味があるので、桃の節句の当日のみ飾るわけではありません。
ひな人形を飾る期間は、2月初旬の立春のあとから3月中旬までです。
節分で豆をまいて厄払いをしたあと、ひな人形を飾ってさらに厄払いするといいでしょう。


ひし餅


ひな人形の飾りの1つに、ひし餅があります。
また、お供え物として食べられるひし餅も飾り、家族で食べるのが桃の節句の習慣です。
ひし餅といえば緑・白・ピンクの3色が一般的です。
それぞれ色に込められた意味は、次のとおりです。

  • 緑…健康、長寿
  • 白…清浄
  • ピンク…魔除け

ひし餅は上巳の節句とともに中国発祥で、もともとは母子草という植物を使った草餅でした。
しかし、母子をついて餅にするという言葉が敬遠されるようになり、日本では香があり長寿や邪気払いの効果があるヨモギが用いられるようになりました。


ひなあられ


ひなあられは、雛の国見せという風習から生まれた食べ物です。
貴族の間で流行した行事で、娘を持つ貴族がひな人形を河原や野原へ出し、春の美しい景色を見せて健康や幸せを呼び込む意味がありました。
そのときに、お米をつかい4色に染めた、ひなあられを食べていたのです。
ひし餅と同じように、ひなあられも緑・白・ピンクが使われます。
もう1色は黄色です。
この4色は日本の四季を指し、娘が1年間、健康で幸せであるようにという意味があります。
日本では、地域によってひなあられの作り方が異なり、関東では甘く味付けしたポン菓子、関西では餅を揚げたものに砂糖醤油などで味付けしたものが一般的です。


ちらし寿司


現代の桃の節句では、ちらし寿司を食べるのが風習です。
平安時代はお寿司の起源とされる「なれ寿司」に、色とりどりの食材がちりばめられていました。
現代でも共通して使われる食材で、次の食材はちらし寿司の定番です。

  • エビ…長寿
  • 豆…健康、マメに働く
  • レンコン…先見の明があるように

桃の節句料理は、なれ寿司から始まり、より鮮やかで見栄えのよい食材が取り入れられて、現在のちらし寿司になりました。


ハマグリのお吸い物


桃の節句では、ちらし寿司にハマグリのお吸い物を添えるのが定番です。
ハマグリは、1対の貝殻をもつ二枚貝で、同じハマグリでも他の貝殻ではぴったりと合うことはないといわれています。
そのような性質から、唯一無二で仲のいい夫婦を象徴する食材として、お祝いの席でも食べられてきました。
桃の節句では、女の子が大人の女性になったとき、一人の相手と末永く幸せに暮らせるようにという意味が込められています。

なぜ桃の節句に桃を飾るのか
それは厄除けして節句を祝うため!

桃の字は多産や子孫繁栄、桃の木は不老長寿、桃は女性の愛らしさや強さを表します。
縁起のいい植物として、古来より重宝され、風習や儀式で用いられてきました。
厄除けや魔除けの効果をもつともいわれ、子どもの健やかな成長と幸せな1年を願うという意味から、桃の節句で桃が飾られるようになったようです。
桃の節句の時期になると、花屋さんやネット通販では観賞用の桃の花が売られています。
ひな人形を飾れば桃の花も含まれていますが、桃の花の切り花や鉢植えを飾ると、より桃の節句が華やかになりそうですね。

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