胡蝶蘭は品があって美しく愛好家の多いお花です。
お祝いやお葬式のお供えにも使われる用途の広いお花であり、様々な節目のタイミングで目にすることの多い胡蝶蘭。
花持ちがよく、1カ月から3カ月楽しめる一方で、適切な置き場所や世話の仕方に悩む方も多いようです。
胡蝶蘭という植物は寿命が長く、温度管理と水分管理に気をつければ長生きしてくれるので、翌年も花をつけてくれます。
それだけに、長い間のお手入れやお世話も必要となってくるのです。
それでは、胡蝶蘭の寿命とお手入れの方法を解説しますので、ぜひこの記事を参考になさってください。
尽きる寿命との対比が意味深いお供えの胡蝶蘭
胡蝶蘭は、祝いの贈り物としてのイメージがありますが、葬儀のお供えとしても定番のお花です。
人の寿命が尽き執り行われる葬儀では、服装や会場も黒を基調とした色である一方、故人の衣装や手向けられるお花は正反対の白がメインです。
葬儀でお供えされるお花を供花(きょうか・くげ)と言いますが、用いられるお花は白い胡蝶蘭も定番の一つです。
「生と死」を表す「黒と白」の中の白い胡蝶蘭は、尽きる人の寿命に対して、胡蝶蘭の長い寿命でバランスをとっている意味が汲み取れます。
人の死に対するバランスを取る役割を担うほど胡蝶蘭の生命力は強く、その見た目からは想像出来ないほど寿命の長い植物なのです。
関連記事:お供えとしても贈れる胡蝶蘭ギフト5選|花選びのマナーも解説
胡蝶蘭の寿命は50年以上になることも!
それでは、胡蝶蘭の株の寿命はどれくらいなのでしょうか?
花が落ちると寿命が尽きたように感じるかもしれませんが、それは一時的なものなのです。
花の寿命は1カ月から3カ月
胡蝶蘭の花の寿命は、鉢植えのものなら、1カ月から3カ月ほど持ちます。
普通のお花が2週間ほどなので、かなり長い期間咲いているお花だといえます。
全部のつぼみが開いて最後の花が散るまでとなると、さらに長い間お花の寿命はあります。
胡蝶蘭自体は50年持つことも
鉢植えでは10年ほど持つといわれている胡蝶蘭ですが、野生の胡蝶蘭なら50年以上持つものもあります。
原種は、東南アジアを中心とした熱帯・亜熱帯の地域に多く分布しています。
胡蝶蘭は着生蘭(ちゃくせいらん)という種類の植物で、熱帯雨林という日差しの当たりにくい環境でも光合成ができるように、木や岩にくっついて生えている植物です。
ヤドリギのような寄生植物とは違い、寄生しているわけではなく木や岩を足場として根をむき出しにして生えています。
このような過酷な環境で自生している胡蝶蘭は、高地や乾季のある場所に自生している種類もあります。
通常手に入る胡蝶蘭では、適切に肥料を与え、時期をみて植え替えをするなどのお手入れをすることで、寿命を延ばすことができます。
胡蝶蘭の寿命を伸ばすお手入れの方法
それでは、ここからは胡蝶蘭を長く楽しむために寿命を伸ばす手入れの方法について解説します。
水は基本的に1週間に一度のペースで与える
胡蝶蘭の寿命を伸ばすポイントの1つは、水の管理です。
乾燥には強いので、頻繁な水やりをすると根腐れを起こしてしまいます。
また、鉢の受け皿に水がたまったままの状態でも根腐れの原因となるので気をつけましょう。
胡蝶蘭への水やりは、基本は1週間から10日に1回の水やりが適当です。
ただし、秋や冬は水はけが悪くなるので、水苔の表面が完全に乾いているかどうかで判断します。秋は3週間に1回、冬は1カ月に1回くらいが目安です。
また、午後の水やりも日差しの当たる時間が少ないため水はけが悪くなりますので、水やりは朝がおすすめです。
直射日光が当たらない風通しの良い場所に置く
胡蝶蘭は屋内での栽培が適していますが、家の中ならどこに置いてもよいというものではありません。
直射日光を浴びてしまうと、葉焼けをおこしてしまいますのでレースのカーテン越しに日が当たる場所に置きましょう。
風通しの良い場所であることも好ましい条件ですが、エアコンの風が直接当たる場所は、乾燥しすぎてしまうので避けましょう。
胡蝶蘭にとって適切な温度は、15℃から30℃ですので、冬場は15℃以下にならないようにします。
高温多湿の熱帯地域が原産なので、湿度も適度に必要です。湿度は60%?80%の間になるように常温の葉水を適度にするのがおすすめです。ただし、やりすぎると病気の原因となるので滴るようなら拭き取ります。
関連記事:胡蝶蘭の正しいお手入れ方法!水やりと置き場に注意して長く楽しもう
関連記事:胡蝶蘭は花が終わったらどうする?二度咲きを楽しむための方法を紹介
胡蝶蘭の花がしおれたら株を休ませ寿命を延ばす
胡蝶蘭の花がしおれてしまった後に何もしないで、そのままにしておくと胡蝶蘭の株が弱ってしまいます。来年も花を咲かせるために胡蝶蘭のケアは欠かせません。
胡蝶蘭の花が終わった後の株は衰えていますので、茎を切って株を休ませてあげましょう。
株が元気なら、根元から3つ目か4つ目の節(茎の白い横線)の上をカットします。もし株が弱っているようなら、できるだけ根元近くでカットするのがおすすめです。
カットするタイミングは、花が全部落ちるまでに切ると株の負担を減らせます。咲いている花が残っているなら、切り花として楽しむのもいいでしょう。
その後は今まで通りの世話を続けて育てれば、来年も元気にお花を咲かせてくれるはずです。
寿命の長い胡蝶蘭はお供えの花としておすすめ
ご紹介しましたように、胡蝶蘭は供花として定着しているお花です。
伝統的な宗教的価値観から、白い胡蝶蘭が選ばれている理由をご説明しましたが、それ以外にも弔事に胡蝶蘭が好まれる理由があります。
すぐに枯れない
葬儀のお供えの花としてふさわしいのは寿命の長い花とされています。花が咲き枯れていくさまが人の一生に似ているといわれているからです。早く枯れてしまう花は、「無常」や「はかなさ」を感じさせてしまいますのでお供えには向きません。
遺族の心の癒やしに
葬儀の供花としての白い胡蝶蘭は、清らかさが感じられ、故人の冥福を祈る気持ちを表すにはとてもふさわしい花です。また、寿命が長くいつまでも変わらないように感じられる胡蝶蘭は、傷心のご遺族にとっての癒しともなるでしょう。
関連記事:通販で胡蝶蘭を選ぶときの4つのポイント!喜ばれる花を贈ろう
特別な相手に贈るお悔やみの胡蝶蘭は50,000円から
お悔やみの胡蝶蘭を特別な方に贈るなら、5万円以上のものがおすすめです。
一般的に個人で贈る胡蝶蘭は、3本立てで1万円?2万円のものが相場です。
会社関係などで贈る場合、3万円程度の胡蝶蘭がよく選ばれています。3本?5本立てのものが多く、花の数も50から60輪ほどです。
5万円程度の胡蝶蘭になりますと、7本立てのものもあり存在感が違ってきます。もちろん花の数もさらに増えます。これほどの存在感のある胡蝶蘭は、特別な記念日や特別な方、取引先に贈る際に選ばれることが多いです。
関連記事:値段の高いお花?高貴な胡蝶蘭の楽しみ方と贈り方
まとめ
胡蝶蘭は、清楚で美しい花。そして強い生命力と長い寿命を兼ね備えています。
それだけに、人の死に関連するシーンでも良く供えられる花になりました。
白く美麗な姿と、強い命を持つ胡蝶蘭は、葬儀の場の雰囲気にバランスをもたらします。
そして、存在感のある胡蝶蘭は、贈る相手に特別な想いを届ける花となるでしょう。
役割を終えた後も、簡単なお手入れで長生きする胡蝶蘭の様は、その後の人生のみちしるべのようです。
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