2023/04/02

チューリップの植え方・育て方|基本は秋植え春咲き!

17世紀のオランダでは、そのあまりの人気から球根の価格が高騰し、狂乱の「チューリップ・バブル」が巻き起こりました。
現代に至るも、春の野を色とりどりに染め、私たちの関心をひきつけてやまないチューリップ。
球根から栽培し、毎年花を咲かせることも、実はそれほど難しくはない身近なお花でもあります。

しかしチューリップの栽培といっても、その球根の植え方はじめ、初めての方には分からないことばかりではないでしょうか?

そこでこの記事では、球根の植え付けから、冬越しのコツ、開花後の処理の仕方まで、チューリップ栽培の基本をご紹介します。

次の春には、手塩にかけたチューリップが満開になる喜びを味わってみてはいかがでしょうか。

チューリップはこんな花!
植え方を知る前の基本知識

チューリップはユリ科チューリップ属の多年草です。
和名は「鬱金香(うこんこう)」。
花の香りが香辛料のウコンに似ていることから名づけられました。

原産地は中東からトルコ及びアフリカ北部にかけての地域で、原種だけでも約100種、園芸品種は7000種以上を数えます。

日本へは江戸末期にフランスから伝来し、研究を兼ねて幕府が栽培を開始しました。
現在は全国各地で栽培されており、球根では富山県、切り花では新潟県が最大の産地になっています。
富山・新潟両県ともチューリップを「県の花」に制定しています。

開花は3月から5月にかけて。春の訪れを告げる花として人気があります。
咲き方は一重咲きのほか、八重咲き、ユリ咲き、パロット咲き、フリンジ咲き、クラウン咲きなど多彩です。
また花色も、赤、黄、白、ピンク、オレンジ、黒、紫、緑などが知られ、複色や花の色が変化していく品種もあるなど、そのバリエーションの豊富さも特徴です。

では、チューリップの球根の植え方、育て方について見ていきましょう。
まずはチューリップ栽培に適した環境についてです。

チューリップの植え方|
日当たりと風通しのよい場所に

日本の気候はチューリップの栽培に適しています。
富山や新潟が名産地であることからも分かるように、冬季に雪の積もるような寒冷地でも問題ありません。

チューリップは日当たりが大好きです。
ただしできるだけ直射日光は避けましょう。
日当たりのよさに加え、風通しがよいことも大切です。
空気がよどんで過湿になると野菜と同じように病気や害虫の被害を受け、根腐れも起きやすいので注意が必要です。
特に地植えの場合、鉢植えのように簡単に移動ができませんので、 日当たりと風通しのよい場所の選定が重要になります。

チューリップの植え方|
植え付けの時期は紅葉前線が目安

チューリップは秋植えが基本です。

球根の植えつけは、地温が10度以下になるまで待ちます。
地域や標高によって差がありますが、おおよそ10月中旬から11月中旬頃がその時期となります。
九州南部などの温暖な地方では12月になることもあるでしょう。

目安となるのは気象庁が発表する紅葉前線です。
紅葉の見頃がチューリップ植え付けの適期とちょうど重なるのです。

一方、球根の植え付けが遅れてしまうと花がつきにくくなりますので、年内には植え付けを終えるようにしましょう。
もし年を越してしまったら、すでに芽を出している球根を購入するのがおすすめです。冬植えすることも可能です。
この場合も、購入後ずるずると遅れて期を逃してしまわないよう注意しましょう。

チューリップは、地植えでも鉢植えでも育てることができます。

チューリップの植え方|
地植えは深めに向きをそろえて

庭地などに地植えする場合は、腐葉土や堆肥を混ぜ、しっかりと深めに耕しておきます。

球根を植える深さは10センチ程度と深め。
芽出し球根の場合は球根の上部が見える深さでかまいません。
植える前には球根の下部(発根部)を茶色い薄皮が覆っていないか確認します。
薄皮がある場合は剥がしておくと発根しやすくなります。

間隔は球根2~3個分が目安です。
尖った方を上向きに植えます。
また球根を上から見た時の平らな面とふくらんだ面を確認し、方向を合わせて植えると葉の伸びる方向がそろい、バランスのよいお庭になります。

植え付け後はたっぷりと水をあげてください。

チューリップの植え方|
鉢植えは根が張る余地を確保

鉢植えの用土は通気性と水はけのよさを重視して準備します。
たとえば赤玉土と腐葉土、パーライトを混ぜるなどの方法がありますが、市販の園芸用土や球根用培養土でも十分です。
鉢には鉢底石を敷いておくと水はけがよくなります。
また緩効性の肥料を元肥として混ぜておくとよく育ちます。

根が伸び伸びと張れるよう、鉢は深めのタイプを用意しましょう。
球根を植える深さは地植えよりも浅めにして根づまりを防ぎます。
高さのあまりないプランターの場合も浅植えにし、根が張るスペースを確保します。

植える間隔は地植えよりやや狭め、球根1個分が目安です。
球根の上下に留意し、発根部の薄皮を事前に取っておくのは地植えのときと同じです。

植え付け後は、鉢底から水が流れ出るのを確認できるまでたっぷりと水をあげてください。

チューリップの植え方|
植え付け後の水やりのポイント

地植えの場合、植え付け後の水やりは自然の雨水にまかせて問題ありませんが、1週間以上乾燥が続くような環境では定期的に水をあげるようにします。

鉢植えでは、土の表面が乾いてきたら鉢底から水が出るまでたっぷりとあげてください。
特に植え付け後に根が伸びる2週間ほどの間はこまめに水やりをします。
ただし多湿は根腐れにつながりますので、土が乾く前の水のやりすぎは禁物です。
鉢皿には流れ出た水を残しておかないように注意しましょう。

チューリップの植え方|
冬越しで失敗しないために

チューリップの冬場の管理で大切なポイントは「低温に置くこと」「根を乾燥させない」の2つです。

チューリップは、一定の期間ある程度の低温におかれた後に、春の気温上昇を経験しないと花芽をつけることができません。
目安は「土温5度以下の環境に約2か月」です。

屋内においた鉢植えは、冬場は戸外に出しておきます。
ただし寒すぎて霜が降るようなときは一時的に屋内や軒下に移動するなどの対策をしてください。

地植えの場合も霜降りや土の凍結に注意が必要です。
対策としては、土の上にビニールや藁を被せるマルチングが有効です。

また、根を乾燥させないためには、冬場も水をやり続けることが大切です。
寒い時期は水やりを怠りがちですが、根が乾燥してしまうと葉は育っても春に花を開くことができません。
乾燥が続いたり表土が乾いてきたら水をあげるという基本を継続し、冬を越えてください。

チューリップの植え方|
開花と開花後の管理

冬を越えて暖かくなり始めると、地上部の成長が促され、花芽がつきます。
日の当たる場所で水やりを続ければ、早咲きの品種なら3月頃から咲き始めます。

花を存分に楽しんだ後、球根を収穫し翌年も開花させるには、次の2つの作業が欠かせません。

花がら摘み

チューリップの咲き終わりに残ったしわしわの花がらは摘み取ります。
方法は、花びらが散る前に花首の部分を手で折るだけです。
刃物を使うとウイルス感染の可能性がありますので、できるだけ手で行います。

株元や葉に落ちた花びらは放置しておくと、これも病気の原因になりますので、必ず取り除きます。
茎や葉は取らずに残しておきます。
光合成を続け、球根に栄養を蓄えさせるためです。

水やりも、葉が黄色く枯れるまで続けます。

球根の掘り上げ

一部の原種を除いて、チューリップの球根は土の中で夏を越すことができません。
球根を次に活かすには、適切なタイミングと方法で掘り上げ、収穫した球根は秋まで保管する必要があります。

掘り上げの適期は、6月頃、葉っぱが緑を失って黄色く枯れた頃合いです。
晴れて湿度の低い日を選んで実施しましょう。

まずは試し掘りをし、球根の外皮が茶色に色づいていることを確認します。
その後、移植ごてなどを使い、球根を傷つけないよう丁寧に掘り出します。
掘り上げた球根は、すぐに土を落とし、古い皮や茎、根をはずして自然乾燥させます。

小さな球根(子球)が付いている球根は、それぞれ独立した球根として植えなおすことができますので、
1球づつ分けておきます(分球)。

収穫した球根は、目が粗めのネットに入れて秋まで保管します。
置き場所は、風通しがよく涼しい日陰がベターです。
雨があたる場所は避けてください。

自宅のガーデニングで収穫した球根は栄養の蓄えが足らず、育ちの悪い場合があります。
特に分球した小球は開花できないこともありますが、秋の植え付けにはぜひ挑戦してみたいものです。
春に全敗を避けたい場合は、園芸店やホームセンター、ネット通販などで新しく球根を購入し、収穫した球根といっしょに植え付けるとよいでしょう。

関連記事:チューリップフェアーで春を体感!花の祭典に出かけよう!

まとめ

オランダのチューリップ・バブルに遡るまでもなく、春の庭を一気に華やかにしてくれるチューリップの人気は、数ある球根植物の中でも際立っています。

今回は、チューリップの球根の植え方を中心に、その育て方を解説しました。
初心者でも失敗の少ないお花です。
数ある品種の中からお気に入りを見つけ、ぜひ球根の植え付けから挑戦してみてください。

またチューリップは、異なる品種やアネモネ、ムスカリ、ビオラなど他のお花との寄せ植えも、花壇や鉢植えがますます華やいで楽しめますよ。

寄せ植えにトライするためにも、チューリップ栽培の基本を覚えておきましょう。

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