3月?5月頃に咲く春の花として有名なチューリップは、老若男女問わず親しまれている球根植物です。チューリップの種類は6000種類以上あるといわれており、毎年世界中でたくさんのチューリップが栽培されています。淡い色から濃い色までカラーバリエーションが豊富で、品種によって咲き方もさまざまです。どんなチューリップに育つか楽しみに、球根から育ててみて頂きたいお花の一つですね。
そんなチューリップの植え付け時期は「紅葉が見頃を迎える頃」といわれています。
本記事では、チューリップの植え付けの方法やコツ、お手入れのポイント、さらに他のお花との寄せ植えや水耕栽培など、多彩なチューリップの楽しみ方をご紹介します。
チューリップは6000種類以上!球根選びはお好みで
初めに、チューリップの基本情報をご紹介しましょう。
チューリップの基本
チューリップは、ユリ科の球根植物です。開花の最盛期は4月で、細かくは品種により異なり、3月下旬?5月下旬の間で1?2週間開花します。品種が多いことで知られ、その数は6000種類以上と言われています。
咲き方も、一重咲き、八重咲き、ユリ咲き、フリンジ咲き、パロット咲き、クラウン咲きなど様々な種類があり、チューリップの中でもどの品種の球根を選ぶかで、違った楽しみ方ができます。
チューリップが富の象徴に?チューリップ・バブルとは
チューリップというとオランダをイメージする人も少なくないと思いますが、17世紀(日本でいう江戸時代初期)のオランダでは、チューリップの球根を巡って「チューリップ・バブル」と呼ばれる、世界最初のバブル経済事件が起こっていたのを知っていますか?
今でこそ日本でも気軽に楽しめるチューリップの花ですが、当時のヨーロッパではまだまだ珍しい希少な植物でした。そのため、チューリップが花壇に咲いていることが、貴族や資産家などお金持ちの間で「富の象徴」として流行していきました。
そこに目をつけた人々が、チューリップの球根に投資を始めました。品種によっては1個の球根で巨額の富を掴む可能性があったため、模様のついた花が咲くかわからないにもかかわらず、多くの人が球根を買い求めるようになりました。
しかし1637年、「チューリップが売れなくなった」という噂が広まり、不安に思った人が一斉に売りに出したことをきっかけに、チューリップ・バブルは崩壊。
球根の価格は大暴落します。結果として、オランダの商業に大打撃を与え、チューリップ投資に携わっていた人たちは、破産などの状態に陥ってしまいました。
この話は、バブルの世界史として今も語り継がれています。現在は、子供から大人まで幅広く愛されているチューリップの球根が、かつては人の人生を変えるほどの影響力を持っていたということですね。
チューリップは春の見頃を過ぎた頃に花を摘み、球根を掘り出して保存しておくことで、また次の年もきれいなチューリップを楽しむことができます。
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チューリップの球根は出回る時期が限られているので注意
チューリップの球根の植え付け時期は、地域により多少の差はありますが、「紅葉が見頃を迎える頃」が目安だといわれています。
チューリップの球根は、ホームセンターや園芸店で8月中頃から店頭に並び出しますが、気温が温かいあいだに植えつけをしないように注意が必要です。
また、12月をすぎると植えつけ時期を過ぎてしまい、店頭でも販売が終了してしまうので注意しましょう。「87100」のようなECサイトでも購入が可能です。
球根の販売が開始したら早めに購入し、秋になり気温が下がり始めた頃に植え付けをするのがよいでしょう。保管しておく場合、球根は暑さに弱いため、気温の高い場所や直射日光の当たる場所を避ける必要があります。通気性がよく、暗いところで保管するようにしましょう。
チューリップの球根を植え付けるために必要なもの
チューリップの植え付け時に準備したいものは、以下の通りです。
- チューリップの球根
- 水はけのよい土
- 土入れ、移植ゴテ
- ジョウロ
※鉢植えの場合
チューリップは地植え・鉢植えのどちらでも育てられます。お庭や花壇にチューリップをたくさん咲かせたい人は地植えに、ベランダや軒下など限られた場所で楽しみたい人は鉢植えにしましょう。プランターなら深さが20cm程度あるもの、鉢は5号以上のものが望ましいです。
チューリップは通気性がよく水はけのよい土を好みます。鉢植えの場合は、赤玉土と腐葉土、パーライトを6:3:1で混ぜたものや、市販の園芸用土を使いましょう。
地植えの場合は、植えつけたい場所の土を深く掘り返し、土がふかふかになるよう耕します。より水はけの良い土を作りたいときは、腐葉土や川砂などを混ぜるとよいです。
鉢底石は水はけをよくするのと、球根を植えたあと根が伸びるスペースを確保するために使用します。
チューリップは乾燥が苦手なので、植えつけてから冬のあいだ、芽が出ていなくても水やりを忘れないように気をつけてください。
また、チューリップは日当たりのよい場所を好みます。地植えの場合は、植え付け予定の場所の日当たりがよいか確認してから、植えつけをしましょう。
鉢植えの場合は、日当たりがよく気温が上がりやすい場所だと、開花に必要な寒さにアテられない可能性もあるため、芽が出るまでは日陰で育て、葉がでてきたら日の当たる場所へ移動するとよいでしょう。
球根の植え付けは「紅葉が終わるまで」に済ませる
チューリップの球根の植え付け時期は「紅葉が見頃を迎える頃」とお伝えしました。
これは、地域によって異なります。
北海道や東北地方では10月上旬?下旬以降、北陸や中国日本海側地方では10月下旬?11月上旬以降。関東や東海地方・近畿・瀬戸内海沿岸では11月上旬以降、九州地方では11月下旬以降が目安です。
チューリップは寒さに強いので、多少時期が遅れても問題ありませんが、あまり遅れると花が咲きづらくなってしまいます。遅くても年内、大きな花を咲かせたい場合は「紅葉が終わるまで」に植えつけを済ませるようにしましょう。
ただ、秋に植えそびれてしまった場合は、芽出し球根を購入できます。芽出し球根とは、すでに発芽している球根のことで、苗から育てる手間がかかりません。
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チューリップの球根を植え付けるコツ
球根を植え付ける前に、球根の下の発根部を確認しましょう。
発根部が茶色い皮に隠れている場合、皮を剥がしておくことで発根がスムーズになります。ただしうまく剥がれない場合は、球根を傷つけてしまう可能性があるので、無理に剥がそうとせずにそのまま植えつけてください。
続いては、地植えと鉢植えそれぞれの植え付けるコツをご紹介します。
チューリップの地植えのコツ
地植えの場合は、球根同士の間隔を10cm程度(球根2?3個分くらい)あけて植えるとよいでしょう。植え穴の深さは球根3個分(5?10cm)が目安です。
浅く植えると、根が伸びたときに球根が地中に出てきてしまう場合があるので注意が必要です。
球根に土をかぶせたら、たっぷり水やりをしましょう。
チューリップの鉢植えのコツ
鉢植えの場合は、球根の根が十分に張ることができる深めの大きい鉢がおすすめです。球根同士は3?5cm(球根1個分)ほど間隔をあけて植えましょう。
チューリップの鉢植えは、地植えと異なり、球根を植え付ける深さを浅めにすることがポイントです。
浅く植えることで、根が伸びるスペースを十分に確保します。水枯れしやすいので、植えつけが終わったら、鉢の底から水が流れるくらいたっぷりの水をあげてください。
また、球根を植え付けるときには「向きを揃える」ことがポイントです。チューリップは、花壇やプランターの外側に向かって大きな葉が生えていると、全体のバランスが良くなり、より美しく見えます。
球根を上から見たときに平らな部分から一番大きな葉っぱが出るので、球根の平らな部分を外に向けて植えつけていくとよいでしょう。
チューリップの球根は他のお花と寄せ植えできる!相性の良いお花もご紹介
チューリップは、他の花と寄せ植えをして楽しめます。
寄せ植えをするときは、「鉢の大きさにあわせて、全体のお花の数やバランスを決めること」と、「それぞれのお花がきれいに見える向きを気にして植えること」を意識すると、きれいに寄せ植えできます。
植え付ける際は、株間に余裕をもって植えつけるようにしましょう。時間をかけて育つうちに葉や茎が広がってボリュームが出ます。
また、チューリップに限らずどの植物も、"きれいに見える向き"があります。すでに花がついた植物を寄せ植えするときは、その向きを意識しながら植えると、全体のまとまりがでて、バランスのよい寄せ植えができます。
チューリップとの寄せ植えには、チューリップと同じ時期に花を咲かせ、チューリップよりも背丈が低いお花がおすすめです。特に相性のよいお花をご紹介します。
ムスカリ
ムスカリは、チューリップと同じく春に咲く球根植物です。青紫色でぶどうのような房になった花を咲かせます。丈が短く、濃い色合いがチューリップの根元を引き締めてくれます。ムスカリを手前に植え、奥にチューリップを植えるとバランスがよいです。
アリッサム
アリッサムは、ごく小さな花びらが特徴の小花をたくさん咲かせる多年草です。草丈が低く、根本を覆うほどのボリューム感が出るので、インパクトのある花壇に仕上がります。手入れが簡単で育てやすいので、初心者にもおすすめのお花です。
パンジー、ビオラ
冬から春にかけての寄せ植えで多用されるパンジーとビオラ。濃い色からパステルカラーまで、花色のバリエーションが豊富で、寄せ植えするチューリップの色にあわせて選べます。
また、秋から春まで長い間花を咲かせるので、チューリップが発芽するまでの間も水やりを忘れにくく、初めて寄せ植えをする人におすすめのお花です。
ワスレナグサ
花径5mm?10mmほどの小さな花を咲かせます。淡いブルーのワスレナグサが有名ですが、園芸品種には、ピンクや白の花色のものもあります。寄せ植えするとチューリップの開花時期にあわせて、花色を添えてくれるでしょう。
ハナカンザシ
小さいながらも花びらが何層にも重なった花姿のハナカンザシ。花期が長いことから、冬から春にかけての寄せ植えで多く用いられている植物です。株がまとまりやすく、優しい色合いをしています。丈の短くボリュームがあるので、チューリップだけでは物足りないような花壇にプラスすると華やかになります。
レースラベンダー
レースラベンダーは、葉に細かい切れ込みが入り、まるでレース生地のようなかわいらしい雰囲気のお花。ラベンダーのなかでは弱い香りも特徴です。
チューリップと同じくらいの背丈になるので、チューリップの左右に植えるとよいでしょう。ラベンダーの中では育てるのが少し難しいといわれているので、寄せ植えになれてきたらチャレンジしたいお花です。
水やりの頻度は?チューリップの球根を植えつけたら定期的にお手入れ
チューリップの球根を植えつけてから約2週間は、根が伸びる大切な時期です。この期間は、たっぷりと水やりをしてください。
目安は、土の表面が乾いたタイミングです。一気にたくさんの水をかけると、土が水を吸う前に流れていってしまうので、少しずつ土に水がし染み込んでいくように、ゆっくりと水をあげるようにしましょう。
チューリップは、2ヶ月ほど約5℃の低温に当てることで開花します。できるだけ屋外の涼しい場所に植えて、冬の寒さに当てましょう。ただし、土が凍結することのないように注意が必要です。
チューリップの球根は、植えつけてから発芽するまで時間がかかります。芽が出る前の冬のあいだは、どこに植えてしまったかわからなくなったり、水やりを忘れがちです。
しかし、チューリップは乾燥に弱いので、朝夕の涼しい時間帯にこまめに水をあげることが大切です。植えた場所にラベルを立てるなど、場所がひと目でわかるようにすることもよいでしょう。
チューリップは水耕栽培で室内に飾ることもできる
チューリップは水耕栽培もできます。
水耕栽培で球根から育てるなら、水栽培用の球根か、すでに寒さに当てた球根を選びます。もし手に入らなければ、通常の球根を紙袋や封筒に入れて、9月中頃から2?3か月ほど冷蔵庫に寝かせてから水耕栽培を始めましょう。
春に花をつける球根は、冬のような環境がないと芽が出ない性質があるので、冷蔵庫に入れることで擬似的に冬を体験させる「春化処理」が必要です。
水耕栽培を始める時期は、植え付けの時期と同じ10?11月、遅くとも12月頃。ホームセンターや園芸店で販売されている、水耕栽培専用の容器を利用すると簡単です。
また、ペットボトルなどを使用した自作の容器を使うことも1つの方法です。水耕栽培は近年人気が高まっており、おしゃれな容器も市販されています。水耕栽培では、根が生えるまで冷暗所で保管することがポイント。
さらに、水にはほとんど栄養分がないため、根が十分に生えてきたら、液体肥料を水に混ぜましょう。水栽培用の肥料か、通常の液肥の場合は、規定量の倍以上に薄めてから与えてください。
チューリップの開花時期は?
春の代表花と言われるチューリップは、3月?5月にかけて開花を迎えます。早生品種は3月下旬頃から、中生品種は4月中頃から、晩生品種は4月下旬から咲くのが目安です。細かくは、育てる品種や地域の気候などによっても開花時期が異なります。
咲き方も多様で、定番のカップのような形の一重咲きのほかに、八重咲きやユリ咲き、フリンジ咲きなどさまざまです。
チューリップの開花期間は、1週間?2週間です。花の見頃を終えたら、枯れた花びらを摘み、球根の掘り上げを済ませましょう。
チューリップが咲いたら堀上げ・花摘みを忘れずに
チューリップの開花時期が過ぎたら、花がら摘みや球根の掘り上げを行います。
チューリップの球根は、掘り上げて保存し、また秋に植えつけできます。花を楽しんだ後は、翌年のために球根を肥大させましょう。
花が開ききった後のチューリップの花びらは一枚ずつ散っていきます。落ちた花びらは病気の原因になることがあるので、放置せず取り除きましょう。見頃を終えたら、花びらがすべて散ってしまう前に、葉を残して、花の付け根部分の茎を手で折り摘み取ります。
その後も、葉が緑色のうちは定期的に水を与えます。これによって、球根に栄養が蓄えられて肥大します。気温が高くなる6月頃に葉が黄色く変色してきたら掘り上げのタイミングです。
シーズン後には球根をお手入れして来年の準備を
6月頃になり葉や茎が黄色く変色して枯れてきたら、球根の掘り上げを行いましょう。試し堀りをして、球根の外皮が茶色くなり始めていたら堀上げのタイミングです。
移植ごてなどを使って、球根に傷をつけないよう、優しく土から球根を取り出します。掘り上げたあとは、土を落としてすぐに自然乾燥させます。
茎や古い皮、根をはずし、ネットなどに入れます。涼しく風通しの良い日陰で、次回の植えつけまで保管しましょう。
収穫したチューリップのアレンジメントアイデア
たくさんのチューリップが咲いたら、堀上げしてアレンジメントにチャレンジしてみましょう。
チューリップは長くてしなやかな茎が魅力のひとつです。チューリップの花を収穫するときは、地面からすぐのところで茎を切り、茎をできるだけ長めに収穫するといいでしょう。
また、チューリップは茎が柔らかいので、花の重さで茎がしなって曲がってしまうことがあります。こういうときは、しなりに逆らわず、花がなびく方向に自然に見えるよう挿したり、生けたりするとよいでしょう。
かわいらしい印象の強いチューリップですが、合わせる花を少しくすんだ同系色のお花を選ぶと、チューリップを引き立てながら、大人っぽいアレンジが出来上がります。
チューリップはアレンジした後も茎が成長して伸びるので、伸びた分の茎を切るとバランスが保てます。暖かい部屋に置くと成長が早いので、通気性がよく気温の低い玄関などに飾ると長く楽しめるでしょう。
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