日本を代表する花、桜。
その儚く優しい花びらは、何百年も昔から日本の人々に春の訪れを告げてきました。
春が近づくと、桜を見に行くために、ご家族やご友人などとお花見の予定をたてられる方も多いのではないでしょうか。
入社式や入学式の時期には、新入社員や新入生を温かく迎え入れてくれます。
そんなに身近な桜ですが、どんな花言葉があるかは意外と知られていないもの。
実は、桜一般の花言葉があるだけでなく、それぞれの品種ごとにも花言葉があるんですよ。
本記事では、ソメイヨシノや八重桜、ヤマザクラなど、様々な桜の種類とその花言葉を、由来とともに一覧でご紹介いたします。
今年の春は、桜の花言葉の意味に想いをはせながら、お花見を楽しんでみませんか?
桜の花の基本情報
まずは、桜の基本情報と、日本文化とのつながりをおさらいしましょう。
春を代表する花の一つである桜は、3月から4月に花を咲かせます。春になると、日本各地で桜を鑑賞することができますよね。
いつが一番見ごろなのか、満開予報とにらめっこしながら、お花見の予定を組む方もいらっしゃるのではないでしょうか。
お花見と聞くと、川辺にシートを敷いてお弁当を食べたり、お酒を飲んだりすることが多いですが、なぜ桜は川沿いに多く咲いているのか疑問に感じたことはありませんか?
江戸時代中期までさかのぼると、その答えが見えてきます。
その頃、人々は洪水被害に悩まされていました。大雨が降るたびに川の水があふれ、土手の決壊を引き起こしていたのです。
そこで、徳川吉宗によって主導された「享保の改革」では、施策の一環として、治水対策のために川沿いに桜の木が植えられたそうです。
桜の木が生えていることで、土手の決壊を防ぐことにつながるだけでなく、人々がお花見を楽しむことで川岸の地面が踏み固められ、土手を崩れにくくする効果もありました。
昔の人は、自然とうまく向き合って問題を解決していたのですね。
そして、日本人みんなから愛されている桜は、「日本の国花」でもあります。
性別や年代を問わず、多くの人から好かれている桜であれば、その国の象徴とされる国花に選ばれるのも納得です。
桜は、日本人にとって最も親しみのある花といっても過言ではないでしょう。
関連記事:桜の花と日本文化のつながりを知る|お花見が楽しくなる桜の知識
桜一般の花言葉は「精神美」や「優美な女性」
このように、桜は昔から不動の人気を誇る花でした。
ここからは、日本人の生活や文化とも深く結びついてきた桜の花言葉をご紹介いたします。
前述のとおり、桜には、品種によって異なる花言葉がありますが、桜全般の花言葉としては、「精神美」「優美な女性」「私を忘れないで」の3つがあります。それぞれ、どのような背景からつけられたのか、順番にご説明いたしましょう。
精神美
桜の花言葉の一つである「精神美」は、アメリカ初代大統領であるジョージ・ワシントンの少年時代の逸話が由来となっているとされています。
彼は子供のころ、父親が大切にしていた桜の木を誤って切ってしまいました。
そのことを隠さずに正直に話したところ、かえってその正直さを褒められたというエピソードが「精神美」の意味の所以になっていると言われています。
ただ、ワシントンが子どもだったころには、まだアメリカ大陸に桜の木はなかったとされているので、このエピソードは子ども達への教訓のために作られたフィクションだという説もあります。
優美な女性
桜には「優美な女性」という花言葉もあります。これは、桜の花の美しさから例えられてつけられたと言われています。
淡いピンク色の小さな花びらが集まっている桜の木を見ると、愛らしく、優しい女性を連想させるのでしょうね。
私を忘れないで
もう一つの桜の花言葉は、「私を忘れないで」です。
桜の花びらが儚く散っていく様子が、恋人たちが別れる切なさと重なって見えることから、このような花言葉がつけられたと考えられています。
悲しい別れの中にあっても、「幸せだった素晴らしい思い出をどうか忘れないで」と願う恋人たちを、きっと桜は優しく見守ってくれることでしょう。
桜全般の花言葉はどれも、美しく、優しく、儚い桜の花のイメージと合っていますよね。
ここからは、品種ごとに異なる桜の花言葉をみていきましょう。
関連記事:サクラの花は何種類?主な品種と特徴・開花時期も解説!
ソメイヨシノ(染井吉野)の花言葉は「純潔」
「ソメイヨシノ(染井吉野)」は、日本で一番有名な桜と言えるでしょう。
原産国は日本で、日本全国にある桜のうち、80%がソメイヨシノだと言われているほど。「桜」と聞くとまず一番はじめにソメイヨシノの花を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
ソメイヨシノ固有の花言葉としては「純潔」があり、これは花の美しさを上品な女性に例えたと言われています。
また、さまざまな種類のある桜の中で、特に混じりけのない純粋な色合いを持つことからも、この花言葉がつけられたと考えられています。
ちなみに、ソメイヨシノには種が付きにくいという特性があります。
自然には繁殖せず、接ぎ木や挿し木など、人の手で増やしていく必要があるので、「クローン桜」と呼ばれることもあるんですよ。
お花見の定番の花であり、桜の開花予想である桜前線も、ソメイヨシノの開花状況が基準になっています。まさに桜の王様のような存在です。
八重桜の花言葉は「豊かな教養」
ボタンザクラとも呼ばれる「八重桜」は、牡丹(ぼたん)のようなボリュームのある花が咲く桜です。
一般的な桜の花びらは5枚ですが、八重桜には大きめの花弁が何枚もついているので、こんもりとした丸い形になるんですよ。
八重桜の花言葉は「理知に富んだ教育」と「豊かな教養」。
これは、入学や卒業といった、学生にとって重要な門出のタイミングと重なることが由来だと考えられています。
八重桜は、「豊か」で「理知に富んだ」学生たちの新しい生活を優しく見守ってきたのでしょうね。
ちなみに、八重桜はソメイヨシノよりも約1〜2週間ほど遅れて開花します。開花時期が他の桜と比べても長めなので、より長く鑑賞できるのが嬉しいですね。
しだれ桜の花言葉は「円熟した美人」
稲の穂のようにしとやかに頭を垂れた姿が印象的な「しだれ桜」は、ソメイヨシノよりも約1週間ほど早く咲きます。
3月下旬から4月上旬の間で楽しむことができる花で、白やピンク、赤など、様々な色合いが楽しめます。
そんなしだれ桜の花言葉は「円熟した美人」。
頭を垂らして花を咲かせる様子からは、美しく年を重ねる貴婦人のような優美さを感じられることでしょう。
そのほかにも、「ごまかし」という少し変わった花言葉もあります。
こちらは、うつむいているように見えるしだれ桜が、自分を偽っているように見えたことからつけられた花言葉であると言われています。
しだれ桜は寿命が長いことも特徴で、樹齢1000年を超える木も存在しています。
ちなみに、しだれ桜がどうして上から下へ垂れるのかご存知でしょうか?
その理由は、なんと「突然変異」によるものだとされています。
研究によると、しだれ桜は重力に逆らって枝を伸ばすために必要な植物ホルモンである「ジベレリン」が遺伝的に不足していて、枝の上部がしっかりと組織できません。そのため、枝が伸びていくと重力に耐えきれなくなり、枝垂れてゆくのです。
ヤマザクラ(山桜)の花言葉は「あなたに微笑む」
山に自生している野生の桜のことをまとめてヤマザクラと言います。ヤマザクラは、4月に可憐な5枚の花びらをもつ淡いピンクの花を咲かせます。
ヤマザクラの花言葉は、「あなたに微笑む」です。優し気な淡いピンク色の花の様子から、人を温かく迎え入れる笑顔を連想したのかもしれません。
ヤマザクラは、桜の木の中では背の高い種類です。
木の高さが20メートルを超える場合もあり、大きなものは30メートル超えのものもあります。
生長がゆっくりであることも特徴で、発芽してから開花するまで早くても5年が必要で、遅い場合には10年以上かかると言われています。
海外に伝わる桜の花言葉
美しい桜は、日本国内だけでなく、海を渡った諸外国でも鑑賞することができます。
桜の花言葉は、国によって少しずつ異なっているようですが、根底にある、桜の花の美しさに憧れる気持ちは共通のようです。
アメリカでの花言葉は、先に紹介した「精神美(spiritual beauty)」のほか、「優れた教育(a good education)」というものもあります。
どちらも、上でご紹介したジョージ・ワシントンが子どもだった頃の逸話に由来するものです。
フランスでは、「私を忘れないで(Nem’oubliez
pas)」という花言葉がつけられています。日本の桜の花言葉と同じですね。愛し合った恋人たちの別れの切なさを、桜の花びらがはかなく散っていく様に例える感覚は、日本でもフランスでも変わらないのかもしれません。
海を越えたお隣の国、韓国での桜の花言葉には、「心の美しさ(??? ????)」と「佳人(??)」があります。
佳人というのは、美しい人という意味です。内面も見た目も美しい人と、桜の優美さをつなげて考えるところは、日本の花言葉と通じるものがありますよね。
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桜の風水的な意味合い
ここまで、桜の花言葉について見てきました。
ですが、桜の花に込められた意味は、花言葉だけに留まりません。風水的には、桜は恋愛運に大きな効果をもたらすと考えられています。
桜には、イライラのもととなる水毒を洗い流してくれる作用があり、これが恋愛運アップにつながると言われているのです。
特に、恋人がほしいと思っている独身女性にとって、桜のお花見は、恋愛運を上げるために非常に高い効果を持つそうです。気になる相手を誘って、美しい桜を見に出かけてみるのも素敵ですね。
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まとめ
日本の文化と深く結びつき、今もわたしたちの心を虜にし続ける桜。品種によってそれぞれ異なる花言葉を持つ桜ですが、どの花言葉も、美しい桜に似合うものばかり。そして、桜が日本でどれだけ愛されてきた花であるのかを、改めて実感された方も多かったのではないでしょうか。
これまで、何気なく鑑賞していた桜の花に込められた意味を知れば、きっとお花見をさらに楽しむことができると思います。
素敵な花言葉の意味が込められたお花を大切な人にプレゼントしたいですね。