2023/04/02

アジサイの白い花が心を癒やす。その由来や品種について

アジサイは漢字で「紫陽花(あじさい)」と書きます。
これは中国唐の詩人白楽天(白居易)の漢詩に由来しているのですが、白楽天が「紫陽花」と呼んだ花は、実は今でいうライラックの花であったとされています。
平安期の高名な学者である源順(みなもとのしたごう)は白楽天の詩を読み、❝陽の光に映える紫の花❞とは、すなわちアジサイ(ガクアジサイ)であると説き、以来「紫陽花」はアジサイを表わす漢字表記として日本に定着しました。

今の日本には白い花のアジサイが咲き、多くの人に愛されていると知れば、源順がどのような感想を持つか気になるところです。

青、紫、赤(ピンク)など、お馴染みの花色とは少し別格の存在感をたたえて人気を博しているのが「白いアジサイ」です。
この記事では、白いアジサイが咲く理由や花言葉、その品種にも及んで、白いアジサイの魅力の一端をご案内します。

白いアジサイが咲くのはなぜ?
土壌の違いによって花色が変わる

アジサイは濃い青から濃い赤までグラデーションを成すように、さまざまな濃度、色合いの花を咲かせます。
その違いはどうして生まれるのでしょうか?

まずは、アジサイという植物の基本的な知識を抑えておきましょう。

アジサイとは?

アジサイ科アジサイ属の落葉低木を総称し「アジサイ」といいます。
ただし、これは広い意味でのアジサイを指す呼称です。
狭義の「アジサイ」は、日本の固有種である「ガクアジサイ」を原種に、奈良時代以降に作られた園芸の品種のことです。
広義のアジサイと区別するため「ホンアジサイ」と呼ぶこともあります。

ガクアジサイやアジサイ(ホンアジサイ)は江戸時代以降、日本に滞在したドイツ人医師シーボルトらによって西洋に紹介され、数々の改良品種が作られました。
それらは大正期以降日本にも輸入され、日本産のアジサイと区別するため「ハイドランジア(西洋アジサイ)」と呼ばれています。
ハイドランジアはアジサイ類を総称した欧米での一般的な呼称で、ラテン語で“水の器”という意味があります。

両性花と装飾花

アジサイの花について、ガクアジサイを例に解説します。

ガクアジサイの花は、粒状の小さな花が中央部に集合しています。
その一つ一つに、萼(がく)、雄しべ、雌しべがそろっており「両性花(りょうせいか)」と呼ばれます。
その周囲を囲むように咲くのが「装飾花(そうしょくか)」です。
装飾花は、雄しべと雌しべが発達せず、萼が花弁のように大きくなったもので、花粉を運ぶ虫などに存在をアピールする役割があります。
ガクアジサイのように、中心部の両性花を装飾花が囲む花序(花房全体)を形成する咲き方を「萼咲き」といいます。

ガクアジサイがアジサイ科の花の最も基本的な形態ですが、ガクアジサイから派生したアジサイ(ホンアジサイ)やハイドランジア(西洋アジサイ)には、たくさんの装飾花だけが集まって花序を形成する品種があります。
今日私たちが目にする園芸品種の多くがこれに相当し、その咲き方は「手毬咲き」と呼ばれます。

アジサイの花色が多彩な理由

アジサイの花の色は生育する土壌の性質の違いに大きく左右されます。

結論からいうと、酸性の強い土壌では青く、アルカリ性の強い土壌では赤(ピンク色)に、その中間では紫色に咲きます。
アジサイの花色を決定しているのはアントシアニンという色素です。
アントシアニンはフラボノイドの一種で多くの植物が持っており、その色調決定に関わっています。
アジサイの場合、アントシアニンは本来、赤色に発色しますが、土中のアルミニウムと結びつくと青色に変化します。
アルミニウムは土の酸度が強いほど土中に多く溶け出すため、酸性土壌では青色のアジサイが咲くという現象になるのです。

日本では青や紫の花色がポピュラーで、赤系のアジサイは少数派のイメージがありますが、これは日本の土壌がもともと酸性寄りであることが理由です。
土に手を加えて酸度を変えなければ、アジサイは青系の花をつけることが多くなります。
赤(ピンク)が特別違った花なのではありません。

ではなぜ、青でも赤でもない「白いアジサイ」が咲くのでしょうか?
理由は簡単です。
アジサイの仲間には、アントシアニンを持っていない種類があります。
色素がないため、青にも赤にも色づかないのです。

アジサイの花色の仕組みが分かったところで、白いアジサイの花の魅力について考えてみましょう。

白いアジサイの魅力は清らかな美しさ

アジサイは古くから、その色をめぐって人々がさまざまな想いをふくらませてきた花です。
青でも赤でもない「白い」アジサイはまた別格の存在として、人の心を惹きつけてきました。
より美しい「白」を求め、さまざまな園芸品種も誕生しています。

色によって違う花言葉

土壌の性質や持っている色素によって、アジサイはさまざまな色に咲き分かれますが、アジサイの花言葉もその色によってさまざまです。

アジサイ全般の花言葉には「移り気」「変節」「浮気」といった、どちらかというとネガティブな言葉が並びます。
これはアジサイが土壌によって違った色に咲くことや、咲いた後も花の色が変わるという性質ゆえで、花言葉としては西洋由来です。
西洋の人々にとってもともとアジサイは、東洋から渡来し花の色が変わるという珍しい植物でした。
その不思議さが生んだ花言葉です。

一方、アジサイ全般には、「家族」「団欒」「和気あいあい」などのポジティブな花言葉もあります。
こちらは日本人の発想した花言葉で、小さな小花が集まって大きな房を作る様子が由来です。
日本はアジサイの原産地でもあり、古来から身近な花であったことがよく分かります。

上記のほか、青・紫系のアジサイには、そのクールな色合いのイメージから「冷淡」「無情」、雨の中で凛とたたずむ姿から「知的」「辛抱強い愛」などの花言葉があります。

赤・ピンク系のアジサイは、「強い愛情」「元気な女性」などの花言葉を持っています。
クールな青系に対して女性らしい愛情の深さをその色合いに感じることからでしょう。
ゆえに赤・ピンク系のアジサイは母の日のプレゼントにも好適とされています。

白いアジサイの花言葉は「寛容」「ひたむきな愛情」です。
何ものにも染まっていない純白の花のイメージから生まれた花言葉です。
プロポーズやウエディングの花としても、白いアジサイはたいへん人気があります。

関連記事:母の日におすすめの紫陽花12選!人気の理由や花言葉などを紹介

白いアジサイたち

白い花を咲かせるアジサイの品種には、どのようなものがあるか見ておきましょう。

■アナベル

白いアジサイの代表格といえるのがアナベルです。
「アメリカアジサイ」の別名もあるようにアメリカ発祥のハイドランジアで、装飾花が集まってボリューム感のある花房を作る手毬咲きのアジサイです。
ピンク色やルビー色に開花する品種もありますが、アナベルといえばやはり白い花をつけるものが主流です。
「ひたむきな愛」という花言葉を持つことやその清らかなイメージから、結婚式にふさわしい花の一つとしてよく知られています。花のホワイトカラーと葉のグリーンが結婚式によく似あいます。
手作りのドライフラワーの花材としても人気で、インテリアにも活用できる花です。
大型、又は小型の改良品種などもあります。

関連記事:アナベルの花を楽しむ!アメリカ生まれの白いあじさい

■シュガーホワイト

オランダ生まれのハイドランジアです。
装飾花だけで構成される手毬咲きで、花の一つ一つがやや大ぶりなのが特徴。
花弁の周囲にはギザギザとした切れ込みが入りフリンジ(房飾り)状になります。
純白ともいえる花の鮮やかな白さと立体感のある豪華な印象で、たいへん人気のある白系アジサイです。

■カシワバアジサイ

柏に似た形の大きな葉をつけることに由来する、和名の「柏葉紫陽花」が一般的な呼称として定着していますが、生まれはアメリカです。
白い装飾花がよく発達し手毬に咲きますが、花序の中心にはかわいらしい両性花もしっかりと確認できます。
基本種は一重咲きですが、改良品種には八重咲きでピンク色の花をつけるものもあります。
カシワバアジサイの魅力は白い花だけではありません。
その葉は秋になると紅葉するのです。
みごとな赤銅色の葉を観賞するために、ガーデニングにカシワバアジサイを取り入れているファンも少なくありません。

まとめ

アジサイに関する基礎知識をベースに、白いアジサイが咲く理由や花言葉、白いアジサイの品種などについてご紹介しました。

環境によって花の色が変わるというアジサイ特有の生態にあって、色素がないというまったく違ったメカニズムによって誕生した白いアジサイ。
その不思議な魅力は尽きることがありません。

この記事を通し、白いアジサイをより身近に感じ、花ギフトの選択肢に加えたり、栽培に挑戦したりと、興味の幅を広げていただけたなら幸いです。

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