パキラは南米原産の常緑樹で、原産地では高さ20メートルに達するものもあるほどの高木。
日本では観賞用に鉢植えで商品化され、インテリアグリーンとしてもおすすめの、たいへん人気のある観葉植物です。
人気の理由の一つに初心者にも育てやすいことがあげられますが、ややハードルの高い作業として「植え替え」が待っていることも覚えておく必要があります。
実は基本を押さえておけば、パキラの植え替えはそれほど難しい作業ではありません。
このページでは、その「基本」をお伝えしていきます。
パキラは、植え替え後もぐんぐん枝葉を伸ばすその強い生命力も魅力です。
ではなぜ、パキラには植え替えが必要なのでしょうか?
まずはその理由から見ていきましょう。
パキラを植え替えて、
根詰まり・根腐れを防ぐ
パキラは生長の早い植物です。
同じ鉢に長く留めておくことはできません。
植え替えを怠るとさまざまな弊害が生じ、最悪の場合はパキラを枯らしてしまうことになります。
「植え替え」は、鉢植えでパキラを育てるうえで必須の作業です。
根詰まりの防止
地上で育つ幹や枝葉には、伸びゆく空間が自由に与えられています。
一方、鉢の中で伸びる根にはスペースの限界があり、やがて圧迫を受け「根詰まり」の状態になります。
根がつまると水や養分、酸素を十分に吸収することができず、地上部の枝や葉も弱々しいものとなります。
パキラの植え替えは、根の生長スペースを確保し、根詰まりを防ぐことが第一の目的です。
根腐れの防止
古い土を使いつづけると養分が欠乏し、パキラの成長が鈍くなります。
また用土の劣化によって水はけや通気性が悪くなり「根腐れ」の原因となります。
土の入れ替えによって十分な栄養と適切な通気性を確保し、根腐れを防いで健全な成長を促すため、鉢植えのパキラには定期的な植え替えが必要となります。
パキラの植え替えは
生長期に合わせて
パキラの植え替えに最も適した時期は、生長期にあたる5月から7月にかけてです。
植え替えはパキラにもストレスを与えますが、春から夏の時期はダメージを受けてもすぐに回復することができます。
遅くとも9月上旬には植え替えを終えましょう。
秋から冬にかけては休眠期にあたるため、植え替えには適していません。
パキラは、年に1度の植え替えが必須ではなく、2?3年に1度のペースが目安です。
適期を逃してしまったら、無理をせず次の春先まで待ちましょう。
なお、パキラに花が咲くのは、種から育てた場合だけです。
鉢植えで購入したパキラに花が咲かないのは、植え替えの失敗ではないことを覚えておきましょう。
パキラ植え替えの
タイミングを見極める
根詰まりや根腐れの兆候をとらえること。
それが植え替えのタイミングを見極めるコツです。
まずは葉の様子を観察しましょう。
日当たりが良く、風通しも悪くない環境で、葉の色が悪く張りがなく、小ぶりになったり、葉数も減ってきたら根詰まり・根腐れのサインです。
根が弱ると水を吸うのも容易ではなくなります。
水やりの際、土に水がしみ込みにくいと感じたら根詰まりを疑ってください。
また、鉢底から根がとび出していたら根が詰まり始めています。
葉や吸水の様子に目立った変化がなくとも、鉢の大きさに対してパキラの樹形全体のバランスが悪くなってきたら、植え替え実施のタイミングです。
パキラを植え替える準備
パキラの植え替えにあたっては、次のアイテムを準備しておくとよいでしょう。
- 一回り大きなサイズの鉢
- 観葉植物用の新しい土※一般的な市販の土でOK
- 鉢底ネット
- 鉢底石
- 新聞紙やビニールシート
- シャベル(スコップ)※小さめのもので十分
- ピンセット、割りばし
- 剪定バサミ※切れのよい清潔なものを
- 手袋※軍手など
また、植え替えの数日前から水やりを控え、土を乾燥させておくことも大切な事前準備です。
土が乾燥していると、鉢からパキラを取り出しやすいなど、作業が楽になります。
根をほぐすときにダメージを与えにくいことも利点です。
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パキラ植え替えの手順と方法
パキラの植え替えは、初心者にも難しくはありません。
その手順と方法を解説します。
植え替え作業をする場所にはまず、新聞紙やビニールシートを敷いておきましょう。
片付けが楽になります。
鉢から抜き出す
鉢の土が乾燥していることを確認し、枝葉を傷つけないようにゆっくりと持ち上げます。
根が鉢に密着している部分はパキラを鉢から引き?がすイメージで、力を入れすぎないよう注意しながら抜き出します。
パキラが外れにくいときは、鉢を木槌などで外側から軽く叩き、土をゆるめるとよいでしょう。
サイズの大きなパキラは、鉢を横に寝かせるとやりやすいです。
根を整える
鉢から抜き出したパキラは、古い土を3分の1程度落とします。
やさしく手でほぐしながら、根を傷めないようにおこないます。
ピンセットを使い、上から下へ細かくほぐしていくのもよいでしょう。
古い根は黒ずんでおり、これから生長を続ける新しい根は白っぽく見えます。
できるだけ白い根を残し、黒い根や伸びすぎた根は、このタイミングでハサミを使い切り落としておきます。
新しい鉢を準備する
植え替えでは、鉢をひと回り大きくします。
鉢のサイズは号数が1つ(直径約3センチ)上が目安です。
ひと回り以上又は大きすぎる鉢は、根が水を吸うのに手こずり、過湿が続いて根腐れを起こす可能性がありますので避けましょう。
鉢の底に鉢底ネットを敷き、さらに鉢底石を敷きつめます。
新しい土は、市販の観葉植物用のものでかまいません。
あるいは、赤玉土6?7・腐葉土3?4の割合で混合土を準備してください。
用土は鉢底石から2?3センチほどの高さに入れます。
新しい鉢に植える
根を整えたパキラを、新しい鉢に埋めます。
パキラをまっすぐに立て、傾かないように注意しながら土を加えていきます。
根の隙間には、ピンセットや割りばしを使って土を入れ込みます。
根を傷めないようやさしく行ってください。
土は、鉢の縁いっぱいまで盛らずに数センチの間(ウォータースペース)を残して入れます。
土の表面と鉢の高さの差によって生まれるこのスペースは、水やりの際、一時的に水を溜めるために必要となります。
植え替え直後の水やり
植え替え直後にはまんべんなく、鉢底から水が流れ出すまでたっぷり水をあげてください。
パキラがぐらつくようであれば支柱を立てるとよいでしょう。
水やりで土が沈んだら、用土を足して元の高さを維持してください。
土が定着し、水やりで土が沈下しなくなるのを確認するまでが、パキラの植え替え作業と心得ましょう。
植え替えの後のパキラに
必要なケア
植え替え作業を終えたあとのパキラの管理(アフターケア)について、留意すべきポイントをあげておきます。
日当たりを避ける
パキラは本来、日当たりの良い場所を好みます。
しかし植え替え後しばらくは、日光浴を控えめにします。
室内ならば、レースのカーテンなどでマイルドに遮光した、「やや日陰」の環境が望ましいでしょう。
植え替えによってパキラも体力を消耗しています。
明るい日差しを浴びて活発に成長させるより、しばらくは休養を与えてください。
弱った様子が表われなければ、2週間程度で通常の環境に戻してかまいません。
肥料を与えない
「水やりは土の表面が乾いてから」が基本ですが、植え替え後しばらくは特に過湿に留意してください。
植え替え後は根が水を吸い上げる力もまだ弱いので、根腐れを起こしやすいのです。
安易に肥料を与えないことも大切です。
植え替え後は栄養分の過多もパキラには負担になります。
肥料は根から水分を奪うこともあり、吸水力の弱いこの時期のパキラは「肥料焼け」をおこして枯れやすくなります。
本来パキラは肥料がなくても育つ植物です。
生育の促進に肥料を投じることはありますが、植え替え後の2週間ほどは避けてください。
まとめ
この記事では、パキラの植え替えについて、その準備、方法・手順、アフター管理などについてご紹介しました。
適した時期やタイミングをしっかり見極め、適切な手順や管理を知り、実践することによって、パキラに大きなストレスをかけることなく植え替えをすることができます。
共に苦難を乗り越えた同志として、パキラには一層の愛着がわくことでしょう。
植え替えは、ガーデニングのビギナーにも必ずトライしていただきたい作業です。
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