2023/04/03

ラナンキュラスの育て方|球根の植え付けから掘り上げまで

ラナンキュラスは、春から初夏にかけ赤やピンク、オレンジ、黄、白など、さまざまな色の花を開き、見るものの心を和ませてくれます。
花びらが幾重にも重なる多重咲きも特徴で、その華やかな花姿から、「晴れやかな魅力」という花言葉を持っています。

品種によって咲き方のバリエーションも多彩で、切り花や鉢植えを自宅で楽しんだり、プレゼントの花としてたいへん人気があります。

またガーデニングの愛好者からも高い支持を得ています。
とはいえ初心者には、適切な栽培環境や、球根植え付けの時期や方法、水やりや肥料のタイミングなど分からないことも多いはず。

そんな方でも栽培の一歩を踏み出せるよう、この記事ではラナンキュラスの育て方を重要なポイントごとにまとめました。

ラナンキュラスを育てる前に
知っておきたい基礎知識

ラナンキュラスは西アジアから地中海沿岸にかけての地域を原産地とする、キンポウゲ科の多年草です。
「ラナンキュラス(ranunculus)」には、ラテン語で“小さいカエル”という意味があり、葉の形がカエルの足に似ていることからこの名がつけられました。
英語名は「バターカップ(Buttercup)」といい、これは原種である野生のラナンキュラスが5枚ある黄色の花弁を、バターの器のように見立てたことが由来です。
野生のラナンキュラスは5枚の花弁になりますが、自生していたものから改良を重ねた園芸種になります。
普段よく目にする薄くて透け感のある花びらが幾重にも重なりあったラナンキュラスが園芸種になります。

園芸市場で「ラナンキュラス」といった場合、「ラナンキュラス・アジアティクス(Ranunculus asiaticus)」という種やその系統品種を指すのが一般的です。
アジアティクスには「ハナキンポウゲ(花金鳳花)」という和名もあります。

アジアティクス系は球根を作るラナンキュラスです。
球根を作らないレペンス系も知られていますが、この記事ではより一般的なアジアティクス系について解説しています。

では、ラナンキュラスの育て方について、詳しく見ていきましょう。

ラナンキュラスの育て方
�@栽培環境

ラナンキュラスは地植え、鉢植えのどちらでも栽培できます。

地植えの場合、風が通る日当たりのよい場所で、
水はけがよく肥沃な土壌が望まれます。
堆肥や腐葉土をすき込んでおくとよいでしょう。
酸性の強い土壌を嫌いますので、有機石灰や苦土石灰などを混ぜて酸度を調整しておきましょう。
寒冷地では冬場の霜に注意し、マルチングなどの防寒対策が必要です。

鉢植えの場合も日当たりを確保できる置き場所を選んでください。
土は草花用の培養土を用意します。
鉢を戸外に置くなら、できるだけ雨に当たらないよう留意しましょう。
長雨にさらすのは禁物です。

ラナンキュラスの育て方
�A植え付け

日本の標準的な気候の場合、ラナンキュラスの球根の植え付けは、最高気温が20度以下になる10〜12月が適期です。
地温が高いうちは球根が腐りやすいので注意しましょう。

市販の球根はからからに乾燥していることが多いので、まずは「吸水処理」をします。
保水性の高いバーミキュライトやパーライトなどの改良用土を湿らせ、球根を包んで一晩、冷暗所に置きます。
球根が膨らんで水を吸ったことが分かります。

この方法で、芽出し処理まで進むこともできます。
吸水を続けた球根は数日で元の倍ほどの大きさに膨らみ、一週間ほどで芽が出ます。

庭地では、15〜20センチ程度の間隔をあけ、2〜3センチほどの深さに植えます。
プランターに植える場合も同様です。
球根は先の細くなっている方が下になりますので、間違えないようにしましょう。

鉢植えでは、鉢底ネットを敷き、鉢底石(軽石)を敷いて排水性を高めておきます。
用土を7〜8割ほど入れたら球根を挿し、2?3センチほど土をかぶせます。

苗から植え付けることもできます。
球根から育てるより簡単なので、ガーデニングの初心者にはおすすめです。
ただし購入時の育苗ポットのまま育てることはできません。
必ず地植えや鉢植えに展開してください。

ラナンキュラスの育て方
�B水やりと肥料

球根や苗を植え付けたとき、発芽したときは十分な水をあげてください。
それ以外は土の表面が乾いたら、その都度たっぷりとあげるのがラナンキュラスの水やりの基本です。
土が常に多湿の状態にあると根が腐りやすくなるので注意しましょう。
ラナンキュラスは、基本的には乾燥に強い植物です。

花は水に触れると傷みやすいので、株元に水を与えるのがコツです。
花が終わり、葉が黄色く枯れてきたら水やりは不要となります。

肥料は、植え付け時に元肥として、開花に寄与するリン酸分が多めの緩効性肥料を用土に混ぜこんでおきます。
追肥として緩効性の肥料を、およそ75〜90日に1度のペースで施します。
その期間は、芽が出てから花が終わるまでが目安。
株元に置き肥するだけです。
それ以降も追肥を続けると根が腐りやすくなるので注意しましょう。
冬の時期から花が開くようなケースでは、肥料切れを避けるためにおよそ2週間に1度のペースで液体肥料を併用します。

ラナンキュラスの育て方
�C開花

ラナンキュラスは、それほど耐寒性の強い植物ではありません。
霜がつかないよう防寒対策も必要です。
一方、花芽が形成されるにはある程度の寒さも必要です。
鉢植えならば、厳寒期以外は戸外の日当たりのよい場所に置くなど工夫しましょう。

冬を越え、草丈30?50センチほどに育ったラナンキュラスは、蕾(つぼみ)をつけ、3月から5月にかけて開花期を迎えます。

花は大きいものでは直径10センチ超。
赤やピンク、オレンジ、黄、白などさまざま色の花を咲かせます。
また花色だけでなく、品種改良によって花の咲き方が多彩なのも、ラナンキュラスの特徴である「変わり咲き」です。
八重のツバキに似た「カメリア咲き」、シャクヤクに似た「ピオニー咲き」、花弁が細かく波打つ「カーネーション咲き」、花弁が内側に巻いていく「バラ咲き」、そしてフリルのようなひらひらした可愛らしい花びら「ポンポン咲き」の一種に「ハーマイオニー」という名前のラナンキュラスがあります。
実はハリーポッターの登場人物の名前が由来であり、ポンポン咲きは2011年イタリアで開発されました。
今後も様々な品種がたくさんでてきそうですね。

ラナンキュラスの育て方
�D剪定と球根の掘り上げ

1輪の花が咲き終わったら、葉の付け根、次の花芽の手前で剪定します。
2週間もすると次の花が咲き、開花期のあいだ繰り返し花を楽しめます。
開花が終わった花がらや枯れた葉は摘み取り、風通しと日当たりを確保してカビの発生や病気、害虫の予防になります。

花が完全に終わり、葉が茶色に枯れたら、ラナンキュラスは休眠期に入ります。
そのタイミングで球根の掘り上げを行います。
花の後も球根を土中に残しておくと根腐れの原因になりますので、地上の適切な環境で管理することが求められるのです。
掘り上げた球根は水洗いしてから十分に自然乾燥させます。
その後、秋の植え付けまで風通しのよい暗所で保管します。
球根をネットの中に入れて吊り下げておくのもおすすめです。
球根の掘り上げは、次の年にまた、きれいな花を咲かせるために必要な作業と心得ておきましょう。

まとめ

愛らしい花びらが幾重にも重なり、色も形の多彩さも魅力のラナンキュラス。
育て方のハードルは、決して高いものではありません。
基本さえ守れば、ガーデニングの初心者でも球根から栽培して花を楽しみ、翌年もまた花を咲かせることができます。

掘り上げた球根は「分球」という方法で増やすこともできます。
アネモネやチューリップ、ビオラなどと寄せ植えにしても楽しいですね。

思い思いのやり方で、ラナンキュラスを楽しんでいただけますように。

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